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住宅取得に利用価値大! 最近の生前贈与
お盆休みが明けたら、一気に真夏の陽気が戻り、熱中症にかかる人も多いようです。皆さんは体調いかがですか?
寝苦しい日が続いていますので充分に気をつけてくださいね。
さて、今回は相続税に関するお話をしたいと思います。本年度から相続税法などの関連法が改正されて、生前贈与に関する税制上の優遇措置が拡大されました。
今まで、贈与税の税負担は重く、相続税は軽いという傾向がありましたが、教育費・養育費や住宅取得などで現役世代はお金が必要です。その世代への生前贈与を促すために、本年度から、生前贈与の際に納めた贈与税を、相続税額から差し引くような新しい制度が出来ました。
「相続時精算課税」と言います。
もちろん従来の制度も残っていますので、生前贈与を受けたときに、従来の制度を利用するか、新しい制度を利用するかを選ぶこともできます。
特に住宅取得の資金として生前贈与を受けた場合の優遇措置は、非課税枠が大きく、じっくり検討する必要があると思います。ただし、この特別措置は2005年末までに贈与を受けた場合という期限がありますので注意しましょう。また制度を利用する場合の条件や注意事項がありますのでご紹介します。
住宅取得で生前贈与を受けて、相続時精算課税を選択すると3500万円までの非課税枠を利用できます。
条件は?
●住宅取得資金であること(敷地代も含みます)
1.
新築または築後使用されていない住宅用家屋の取得
2.
既存住宅用家の取得(マンションなど耐火建築物は築後25年以内、耐火建築物以外は築後20年以内)
3.
住宅用家屋の増改築・リフォーム(増改築後の床面積50平方メートル以上かつ工事費用100万円以上)
●2005年12月31日までの間に贈与
●相続税を受けとった時に相続税で計算しなおします。
手続きは?
贈与税を受けた翌年に、贈与税の申告が必要です。資金の用途が住宅取得であることを証明するために、家屋の登記簿謄本などの書類が必要になります。また、この資金で土地だけを購入して住宅に使用しないと対象外となりますので、資金計画は綿密に考える必要があります。
住宅取得のための優遇制度を利用する場合、親の年齢制限はありませんが、子は20歳以上という条件がありますので、これも注意してください。
実際の相続時はどうなるの?
相続精算課税を選んだ人が遺産を相続する際に、生前の贈与分も相続税に加算されて計算されることになります。計算された相続税額が生前贈与の際に支払った税金よりも多ければ、国に追加分を納め、少なければ還付を受けることになります。
ここで最も注意しなければいけないのは、一度相続時精算課税を選ぶと撤回できないということです。ですから、利用する場合には相続財産の額がどの程度になるかも見越した上で、どのようにするかを検討することが必要なのです。
せっかくの優遇制度ですから、専門家の意見も充分に聞きながら、上手に活用できると良いでしょう。