■ 住宅ローンの保険 (団体信用生命保険)
「大きなローンを組んで住宅という高い買い物をしました。これからは大黒柱の責任重大。万が一のために生命保険を増額したほうがいいのか・・・」こんなふうに思う人も多いのでは?たしかに住宅を買ったときは保険の見直し時期でもあります。ただ、増額ではなく逆に減額して適正額にするケースが多いはずです。「なぜ?」と思うあなたに、今回は住宅ローンの保険についてお話します。
住宅ローンには団体信用生命保険という生命保険があります。重度の障害や死亡の際には保険金と住宅ローンが相殺されて、借入金がちゃらになるというものです。
民間ローンでは必ず加入しなければなりませんが、公的ローンでは任意加入となっています。ただ任意とはいっても加入率95%という多くの人が活用した保険です。
最近の民間ローンでは金融機関によって特色のある団体信用生命保険プランが用意されています。例えば、「がん保障特約付団体信用生命保険」は、ローン期間中に「がん」になってしまった場合に、ローン残高相当の給付金が支払われ、ローンと相殺されるというものです。これはあくまでもローンの返済用なので、がん治療費代をまかなうための保険ではありません。しかし、入院しても、収入がなくなってもローンの債務は残るものなので、入っておく安心感はあります。
団体信用生命保険料は民間ローンの場合、ローン金利の中に保険料(約0.3%)が最初から盛り込まれているので、それほど払っているということを意識することはありません。公的ローンでも保険料は年齢・性別問わず同一の掛金(年払)で返済額100万円に対し2,810円という安価です。しかもローン残高に応じて保険料が減っていくので合理的です。
団体信用生命保険は相続対策としての活用方法もあります。たとえば「フラット35」という新型住宅ローンには親子リレー返済があります。これはローン申込者が、同居あるいは将来同居予定の子どもを後継者として連帯債務者にし、自分が返済能力を失った場合にはその子どもが代わって返済を継続していく返済方法です。この場合団体信用生命保険は親か子のどちらか一方に加入すればいいというところがポイントです。親に団体信用生命保険を掛けておき、親が死亡した場合にはローンが相殺され、子どもに住宅が引き継がれます。(民間ローンの親子リレーローンでは子どもも団体信用生命に入ることが条件となっているので注意)またアパート経営の場合、ローン申込者が亡くなった後、団体信用生命保険によってローンが相殺され遺族には残されたアパートからの家賃収入が入ってくるなど、相続対策としての様々なケースがあります。
団体信用生命保険は、住宅ローン利用者でも自が生命保険に加入していることを意識していないケースが多いようです。もしもあなたが団体信用生命保険と民間生命保険に加入していて、民間生命保険の中に遺族の住居費保障も考慮されていたのであれば、重複していることになります。
ですから見直しが有効なわけです。住宅ローンを利用するときには、すでに加入している保険の見直しも併せて行うべきです。民間保険を減額して、減額した分の保険料を住宅ローンの繰上返済の資金に充てるために積立てたり、長期療養で返済ができなくなるリスクに備えて長期所得補償保険などの損害保険に加入するなど、効率の良いプランに替えるのも一つです。