■ 住宅ローンと金利 (量的緩和とゼロ金利解除)
このところ、ゼロ金利解除の話題がありましたね。「それ、どういうことなの?」「そもそもゼロ金利ってなんだったの?」とイマイチ、ピンとこなかった人も多かったはず。実は、変動金利型で住宅ローンを抱えている人やこれから住宅を購入しようとしている人には大きなインパクトがあるニュースなのです。今回は金融政策と住宅ローンについてみてみましょう。
3月に日銀の量的緩和政策が解除、7月にはゼロ金利政策が解除されました。これらは何を意味するのでしょう?
日本銀行は金利を上げ下げすることで景気をつかさどっているところです。景気が良くなったら金利を上げてお金を借りにくくし、景気が良くなりすぎるのを抑えています。(金融引き締め)景気が悪くなったら金利を下げてお金を借りやすくし、景気が悪くなりすぎるのを抑えています(金融緩和)。
「ゼロ金利政策」とは後者の景気が悪くなりすぎるのを防いだ政策です。しかしいくらなんでも「金利ゼロ」というのは金融緩和策としても「異常」な政策だったのです。
これに対し「量的緩和政策」というのは、日本銀行が世の中のお金全体の量を増やし、企業の設備投資や運用を促した金融政策のことです。それまでの金融政策の主流は「金利」の調整でしたが量的緩和とは「お金の流通量」を調整する政策で、この2つの政策がダブルでとられていたこと自体「異常事態」だったのです。
量的緩和が解除されたということは、お金の流通量が減るということです。金融機関は今まで通りの資金調達ができなくなるということになり、預金を集めるために預金者により高い金利を払うようになります。またゼロ金利解除によって金融機関は日銀から高い金利でお金を調達しなければならず、その分融資金利も高くしなければならなくなります。
つまり、これから金利は徐所に上がっていくことが予想されます。
時期
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政策
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結果
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つまり・・・
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私たちにとって・・・
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2006年3月
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量的緩和政策解除
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金融機関のお金が減る
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金融機関は預金者からお金を集めようと預金金利を引き上げる
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金利があがる
預金金利があがる
・・・預ける人はうれしい
融資金利もあがる
・・・借りる人にはうれしくない。
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2006年7月
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ゼロ金利政策解除
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金融機関が日銀からお金を借りるときの金利があがる
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金融機関が資金調達するときのコストが上がったので、融資金利も引き上げる。
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私たちがもっとも大きな影響を受けるのが、住宅ローン。すでにマイホーム駆け込み買いもみられています。確かに「2〜3年後にはマイホームを・・・」と考えていた人は、親からの援助などを検討して、少し前倒しで購入することを考えてみてもいかもしれません。ただ、住宅購入のための資金計画は、長期的なライフプランの中に、しっかり位置づけたいもの。頭金や収入が確保できていない人や本当に気に入った物件に出会っていない人は、あわてて購入するのはリスキーです。
これから住宅ローンを組む人は、金利が上がる前に「長期固定金利」ベースに検討しましょう。「長期固定金利」をベースに、短期で金利の低い変動金利型を組み合わせたミックスプランもいいでしょう。
住宅ローン返済中の人は、一度見直しを検討してみましょう。特に「短期固定金利」で2年〜10年で借り入れをしている人は長期固定などへの借り換えや変更も一つ。また、金利上昇に対する今後の対策としては、余裕資金がある場合は繰り上げ返済も検討の一つです。