■ 高齢者の家庭内事故
事故というと、交通事故など外での事故を思い浮かべることが多いですが、高齢者に多いのは意外と家庭内事故のようです。
国民生活センターの調べ(2003年度〜2007年度)によると、65歳以上の高齢者の事故は6,569件で、そのうち家庭内事故は、4,158件です。これは事故全体の63.3%にあたり、家の外より、家庭内事故のほうが多いことが分かります。
傾向としては、年齢が上がるにつれて家庭内事故の割合が高くなります。
性別では、女性が64.8%、男性は35.2%と、女性のほうが多いことが分かります。
⇒女性は家事をすることが多いので家庭内事故が多くなります。また、女性の場合、骨粗しょう症になりやすく、骨が弱くなっていることから、骨折しやすいことも気をつけたいポイントです。
また、家庭内事故で死亡する原因として最も多かったのは、「やけど」です。具体的には、お風呂のお湯によるもの、ストーブやガスコンロ、ローソクなどによる着衣着火によるものなどです。
中には、電気カーペットによる低温やけどが原因で腎不全の合併症を起こしたケースもあり、注意が必要です。その他には、屋根や脚立からの転落、さらにお餅をのどに詰まらせたことによる窒息死があります。
⇒お風呂のお湯が熱湯になっていたり、熱湯の入ったヤカンを落としたり、寝巻きの袖口にコンロの火がついたり…やけどをする原因はさまざまですが、やけどは死亡する原因になりますので、十分な注意が必要です。また、これからの季節は大掃除する家も多くなりますが、高いところに昇っての作業は高齢者には控えていただくようにしましょう。さらに、意外と窒息死も多いことから、お餅には注意してください。これからお餅を食べる機会も増えると思いますが、高齢者が1人でお餅を食べることは危険です。誰かと一緒にいるときに食べるようにしてもらうことも1つの方法です。
なお、危害の内容は「打撲傷、挫傷」が一番多いですが、「骨折」が高齢になるほど増加する傾向にあります。特に、頭部や大腿のケガ・骨折が多いことが、高齢者事故の重症化につながっているようです。高齢者が事故にあった時の行動は、「歩いていた(階段の昇り降りを含む)」が多いことから、廊下でつまずいたり、階段で踏み外したりと、日常生活の動作が事故につながっていることが分かります。
⇒廊下や階段に手すりをつける、明るい電灯をつけるなど、転倒しない工夫をしましょう。また、滑りにくい床にすることやコードなど引っ掛かりやすいものは取り除くことなどが有効な方法です。骨折から要介護状態になる方もいます。高齢になって骨折すると治りにくいのも事実ですから、予防することが大切です。
家庭内事故を減らすために、高齢者自身が気をつけるのはもちろんですが、日ごろから家族が気をつけて差し上げることが重要なポイントとなります。年末にかけて、ご両親など高齢の方の自宅内の改善をしてみてはいかがでしょうか?