■ 「特定口座」ってなに?
2009年は上場株式や公募株式投資信託にかかわる税金の制度がいろいろと変わります。
投資信託は少額からでも利用できる金融商品なので、公募株式投資信託を持っている人も多いのではないでしょうか?(公募株式投資信託とは難しい感じがしますが、株式で運用する投資信託のことです)これまで公募株式投資信託を持っている人で確定申告が必要なかった人でも、今年からは確定申告をしなければならない場合があります。
今回は確定申告が簡単になる「特定口座」についてみてみます。(特に利用が多いと思われる公募株式投資信託に焦点をあててみます)
公募株式投資信託を換金する場合は、原則として確定申告が必要となります。
投資信託を換金する方法には@「解約請求(解約すること)」とA「買取請求(売却すること)」の2種類があります。
2008年までは
@「解約請求」の場合の課税は源泉徴収で済ますことができ、確定申告は不要
A「買取請求」の場合の課税は、申告分離課税として原則確定申告を行うことが必要でした。
それが2009年からは、@「解約請求」A「買取請求」ともに申告分離課税となり、原則確定申告を行うことが必要となります。
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換金の方法
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いままで
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2009年から
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公募株式投資信託
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@解約請求
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解約すること
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解約益から税金を源泉徴収されて課税終了
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確定申告が必要
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A買取請求
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売却すること
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確定申告が必要
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確定申告となると年間の利益や損失を自分で計算しなければならないのでけっこう面倒な面もありますよね。そこでその確定申告の煩わしさを軽減するために、多くの金融機関で用意されているのが「特定口座」という制度です。
「特定口座」とは確定申告が必要な公募株式投資信託などを換金した際に、確定申告が不要になったり、簡易な手続きで申告できようになったりする仕組みのことです。
「特定口座」ではなく「一般口座」で投資信託を持っている人は自分で年間の譲渡損益を計算して確定申告しなければなりません。一方、「特定口座」という制度を利用すれば、投資家に代わって、金融機関が、「特定口座」内での譲渡損益の計算をして年間の譲渡損益がいくらであったかを「特定口座年間取引報告書」として作成してくれます。さらに「特定口座」には「源泉徴収ありの口座」と「源泉徴収なしの口座」があって、どちらかを選択することができますが、「源泉徴収ありの口座」を選択すれば譲渡益があった場合、換金するごとに10%の譲渡益課税が源泉徴収されるので、原則投資家が自分で確定申告をする必要がありません。(※)
いっぽう「源泉徴収なしの口座」を選択した場合は、自分で確定申告しなければなりませんが、金融機関が申告に必要な「特定口座年間取引報告書」を作ってくれるので自分で「特定口座」内での譲渡損益の計算をする必要がなくなり、確定申告が簡易になるわけです。
※源泉徴収された人でも年間500万円超の譲渡益がある人は2009年と2010年は別途確定申告が必要になります。
口座の種類
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譲渡損益の計算
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申告・納税の方法
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一般口座
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自分で行う
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自分で確定申告をする
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特定口座
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金融機関が譲渡損益の計算をし、「年間取引報告書」を作成
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源泉徴収ありの口座
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譲渡益から10%源泉徴収され原則課税終了
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源泉徴収なしの口座
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「年間取引報告書」をもとに自分で確定申告をする
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すでに「一般口座」で公募株式投資信託を持っている人でもこれから「特定口座」に換えることができます。ただし、すでに持っている公募株式投資信託を「一般口座」から「特定口座」に預け入れできるのは今年の5月31日までなので、期限に注意してくださいね。
さらに注意点として、「特定口座」で計算されるのはあくまでもその金融機関の「特定口座」内のみなので複数の金融機関で取引をしていてそれぞれの取引を通算する場合は自分で確定申告をする必要がありますので気をつけてください。