■ 住宅ローン控除について
先日、首都圏のマンション契約率が5カ月連続で前年同月を上回って上昇しているというニュースがありました。その背景にはマンション価格の下落による買いやすさが影響していたようです。
昨年から心配されていた金融不安や雇用の不安定さから消費者の購買意欲が衰退し、マンションだけに限らず不動産価格は大きく下落しましたが、平成21年改正で大幅に拡充された住宅ローン控除なども追い風となって、住宅を買いたいと思っていた人たちにとっては絶好の買い時だったようです。(実際、私の弟も3月に一戸建てを買いました。すごくお買い得物件だったとか・・・)
今回は住宅ローン控除についてみてみます。
住宅ローン控除とは、一定の条件を満たした住宅ローンを抱えている人に、「住宅ローンが大変だろうから、ローン残高に応じて所得税の税負担を軽くしてあげる」という税額控除制度のこと。所得税から差し引ききれない控除額は限度額までであれば住民税からも控除できます。
ローンを抱えている間ずっと税負担が軽くなればうれしいのですが、税額控除により税負担が軽くなるのは一定の期間だけで、平成21年から居住の人は10年と決まりました。
また、どれだけ税額控除を受けられるのかは、一定の限度枠内における、その人の年末のローン残高により計算されます。平成21年からはこの限度枠が大幅に引き上げられ、さらに、限度枠内であればローン残高の1%の額を10年間ずっと税額控除として受けられます。(今までの住宅ローン控除制度は限度枠が2000万までしかありませんでした。また今までは控除率も控除適用期間中、年数がたつにつれ低くなっていましたが、10年間ずっと1%で計算されるところが、住宅ローンを抱えている人にとってはうれしいところなのです。)
居住年
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平成21年
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平成22年
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平成23年
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平成24年
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平成25年
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控除期間
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10年間
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10年間
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10年間
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10年間
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10年間
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住宅ローンの年末残高の限度額
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5000万円
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5000万円
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4000万円
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3000万円
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2000万円
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控除率
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1.0%
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1.0%
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1.0%
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1.0%
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1.0%
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最大控除額
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500万円
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500万円
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400万円
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300万円
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200万円
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また今年から長期優良住宅のための控除制度もできました。長期優良住宅とは平成20年11月28日に可決成立した長期優良住宅普及促進法(平成20年12月5日公布)で定められた認定を受けた住宅のこと。「200年住宅」とも呼ばれていて、次のような要件を満たす必要があります。
※長期優良住宅認定の条件
・腐食の防止、地震に対する安全性の確保
・住宅の利用状況の変化に対応した構造・設備の変更の容易性
・維持保全を容易にするための措置
・高齢者の利用上の安全性
・省エネルギー性
長期優良住宅は価格が2割くらい一般住宅より高いそうですが、より有利な住宅ローン控除が受けられます。
長期優良住宅(200年住宅)
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居住年
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平成21年
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平成22年
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平成23年
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平成24年
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平成25年
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控除期間
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10年間
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10年間
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10年間
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10年間
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10年間
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住宅ローンの年末残高の限度額
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5000万円
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5000万円
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5000万円
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3000万円
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2000万円
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控除率
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1.2%
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1.2%
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1.2%
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1.0%
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1.0%
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最大控除額
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600万円
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600万円
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600万円
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300万円
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200万円
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また、住宅ローン控除を受けるためには一定の条件がありますが、平成21年改正で緩和されたところがあります。
従来は新築や購入をしてから6か月以内に居住して、適用を受ける年の12月31日まで「引き続いて住んでいること」が条件の一つでした。新しい住宅ローン控除では住宅を購入して入居した12月31日までの間に転勤命令などのやむをえない理由により転居して、その後再びその住宅に戻ってきた場合でも適用が認められます。
詳細はhttp://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/syuzei04.htm
金利も低い今、住宅を持ちたい人にとってはうれしい減税ですね。ただ住宅は高い買い物なので、世の中の条件だけでなく、家計の好条件もそろわないと、あとあと大変です。じゅうぶんな資金計画・返済計画は大切ですョ。