■ 結婚しにくい時代?
ライフプランを考えるきっかけとなるライフイベントである「結婚」。
結婚が、ライフプランニングする上でのスタートとなることはよくあることです。結婚をすることにより、家族を中心とした人生設計を具体的に描くことができ、その実現に向けた資金計画も必要となってくるからでしょう。
しかし、近年、結婚難時代となりつつあり、そのことが少子化にも影響しています。結婚は個人の人生においても大きなテーマですが、国にとっても大きな問題なのです。
平成17年の国勢調査によると、30歳代前半で男性の47%、女性の32%が未婚でした。若者たちの結婚離れは進行していますが、結婚しないのか?結婚できないのか?…「結婚」という選択についてどう考えているのでしょうか?国立社会保障・人口問題研究所「第13回出生動向基本調査」によると、以下のとおりです。(ポイントをまとめました。)
@結婚の意欲
・未婚者の9割は「いずれ結婚するつもり」との結婚の意思がある
・「ある程度の年齢までに結婚したい」と結婚年齢にこだわる未婚者が増えた
・男性は就業の状態によって結婚意欲が異なる⇒自営業や正規雇用者は結婚してもよいと考える未婚者が多いが、非正規就業者(パート・アルバイト)は結婚意欲が低い。
・女性は男性ほどの差は見られないが、自営業者の結婚意欲が後退し、相対的に正規雇用者、派遣・嘱託などの未婚者の結婚意欲が高くなっている。
A結婚の利点・独身の利点
・結婚することに利点があると考えている未婚者(男性65.7%、女性74.0%)はやや増えている。
・一方で、独身生活に利点があると考える未婚者(男性83.8%、女性87.2%)と結婚に利点を感じる割合よりも多くなっている。
・結婚の利点の感じ方は就業の状態によっても異なり、特に男性では差が大きく、正規雇用者の場合、利点を感じる人が70%程度で安定している。
・結婚の利点は「自分の子どもや家族をもてる」ことが大幅に増加していて、「精神的な安らぎの場が得られる」ことも多い。
・独身生活の利点は「行動や生き方が自由」であることが男女とも圧倒的に多い。
Bなぜ結婚しない(できない)のか?
・25歳未満では結婚をする積極的な理由の欠如(必要性を感じないなど)が多く、25歳以上になると「適当な相手にまだめぐり会わない」という理由を挙げる人が半数程度となる。
上記の調査で就業状況が結婚に影響していることが明らかですが、厚生労働省の調査(第6回21世紀成年者縦断調査)でも男性の結婚率と女性の出産率が「正規社員」と「非正規社員」において大きな差があることが分かりました。
それによると、正規雇用で働く男性が結婚した割合は、派遣・アルバイトなど非正規社員の男性に比べて約2倍高く、さらに所得が高くなるほど、結婚した男性の割合が高くなる傾向も明らかとなりました。就業の状態が結婚に影響し、不安定な雇用や収入の非正規社員は正社員よりも結婚が難しくなっているのが実態です。
厚生労働省によると今回の調査(平成21年3月に発表)は平成19年11月に実施されたもので、景気悪化が起きる前のものです。今後はますます結婚率の差が出てくる可能性は高いと推測されます。
また、女性の出産についても正規社員か非正規社員かによって差があり、所得格差だけではなく、育児休業などの制度面での待遇も大きなポイントになっています。
少子化対策としては、結婚し子どもを生み育てやすい社会環境を整えていくことが大切です。そのためには、雇用の安定が最優先であるのではないでしょうか?若い世代が「結婚」という選択をしやすい社会を作っていくことは、若い世代だけの問題ではなく、私たち国民全体で考えていかなければならない大きなテーマだと思います。