■ 確定拠出年金のマッチング拠出
“マッチング拠出”とは会社の確定拠出年金に社員が自ら掛金を上乗せできる制度のことです。2012年1月1日よりこの法律が施行されています。今、このマッチング拠出を導入する企業が増えてきています。
そもそも確定拠出年金とは、日本版401kとも言われ、運用次第で受給額が変わる年金制度です。この確定拠出年金には、自営業者などの個人が加入する「個人型」と、企業が企業年金の制度として導入する「企業型」があります。企業型の場合、企業が社員のために掛金を拠出し、それを社員が自分で運用し、原則、将来年金や一時金で受け取ることになります。
マッチング拠出は「企業型」の場合で、しかも企業がマッチング拠出を導入していないと、社員はマッチング拠出することはできません。
マッチング拠出を企業が導入した場合、社員はマッチング拠出をするのかしないのか選択ができます。マッチング拠出する場合にもその金額は会社が用意した選択シの中から選択できます。
ただし、マッチング拠出する金額には、以下の2つの法令上の制限があります。
@ 社員の掛金(加入者掛金)が会社の掛金(事業主掛金)を上回らないこと
A
社員の掛金(加入者掛金)と会社の掛金(事業主掛金)の合計額が法令で定める確定拠出年金の拠出限度額を上回らないこと
会社に他の企業年金がない場合
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合算して51,000円が上限
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会社に他の企業年金がある場合
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合算して25,500円が上限
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ところで、社員にとってこのマッチング拠出のメリットは何でしょうか?
それは「税の優遇」で、有利に資産形成ができるという点です。
確定拠出年金の掛金は全額所得控除の対象になりますから、その分だけ所得税の負担が軽減されます。
また、確定拠出年金で運用したときの利息などの運用益は非課税です。
さらに、将来受け取るときも、一時金で受け取れば退職所得控除の対象、年金で受け取れば公的年金等控除の対象となります。
サラリーマンにとってこれほどの資産形成の優遇が受けられる制度はほかにはないでしょう。会社がマッチング拠出を導入し、給料から積み立てる余裕があれば、積極的に利用を検討してみましょう。
確定拠出年金はあくまで自分で運用する制度です。運用結果によっては元本を下回ることもあるので注意が必要です。
しかし、個人的に投資信託などで運用するよりは、確定拠出年金のほうが所得税分の税金のメリットがあるので、その分思い切った運用ができると考えることもできます。ただし、個人的に投資信託で運用していれば、途中で現金化して使うことができますが、確定拠出年金として積み立てると、原則60歳以降でないと使うことができません。その点は注意しておきましょう。