■ 海外旅行中の医療費は?
夏休みには海外旅行に行こうと計画している方もおられるでしょう。
旅行は元気に楽しみたいのは当たり前ですが、旅先で急病にかかる可能性もあります。
海外でかかった医療費は全額自己負担となるのでしょうか?
⇒いいえ、後日必要な手続きをすれば、海外療養費として医療費の一部は戻ってきます。
海外旅行中に医療機関で受診した場合には、いったんかかった医療費を海外の医療機関に支払い、担当の医師等から治療内容や治療にかかった金額について明細書・領収書等をもらい、帰国後、申請することによって医療費の一部が戻ってきます。
たとえば、健康保険の一般被保険者は自己負担割合が3割ですから、対象の医療費が10万円だった場合、3万円が自己負担で残り7万円が戻ってくるわけです。
ただし、海外で支払った治療費で計算するのではなく、日本国内で同様の治療を受けた場合の費用をもとに算出します。
仮に、海外で病気にかかり治療費を20万円(※)支払ったとします。これと同じような治療を日本で受けた場合の平均的な金額が10万円だとすると、この金額が基準となります。10万円のうち3割の3万円が本人負担で、これを控除した7万円が健康保険からの支給額となるわけです。
反対に、海外で実際に支払った治療費が10万円(※)で、これと同じような治療を日本で受けた場合の平均的な金額が20万円だとすると…このケースでは実費の10万円を基準に計算し、やはり3割の3万円が本人負担で、これを控除した7万円が健康保険からの支給額となります。
(※支給決定日の外国為替レートで円に換算します。)
なお、この海外療養費が給付されるのは、日本国内で保険診療と認められている医療行為のみです。美容整形手術や性転換手術、自然分娩、人工授精などの不妊治療、交通事故など第三者行為や不法行為に起因する病気やケガ、差額ベッド代などは保険適用外ですから、対象外です。臓器移植など治療を目的に渡航した場合も対象外になります。
また、この海外療養費の請求には必ず治療内容の分かる書類、かかった医療費の明細が分かる領収書が必要です。書類が日本語以外で記入されている場合は、日本語の翻訳文が必要です。この翻訳費用は申請者の負担となります。もちろん、内容が正確であれば自分で訳してもかまいません。
請求の期限は、治療費を支払った日の翌日から2年間です。請求し忘れている方は早めに手続きしておきましょう。書類等の詳細については、ご自身の健康保険の窓口で確認してください。