■ 2013年10月から年金が減額に
10月から、公的年金の受給額がマイナス1%引き下げられます。
これは過去の特例措置で、高齢者が本来より高い公的年金を受け取っている「もらいすぎの年金」を解消するものです。
公的年金は本来、物価の上下変動により年金額の実質価値に変動があった場合に、年金額を調整するしくみがとられています。これを物価スライド制といいます。年平均の全国消費者物価指数がその前年の年平均に対して変動した場合に、その変動率を基準として翌年4月以降の年金額が改定されるしくみです。
「もらいすぎの年金」は1999〜2001年まで物価が下落していたにもかかわらず、特例措置で2000年度から2002年度まで年金額を据え置いたことで生じました。その後2003年以降は前年の物価指数を反映させて年金額が計算されています。物価が下落した翌年は年金額が減額されてきました。ただ、物価が上昇しても特例で減額してなかった分を解消するまでは物価スライド率が据え置かれてきました。それでも過去の特例措置の影響で、今の公的年金の支給額は本来よりも 2.5%高い水準になってしまっています。
これを解消するために2013年からの3年間で段階的に年金額が減額されるのです。まずは2013年10月分からマイナス1%、2014年4月分からマイナス1%、2015年4月分からマイナス0.5%減額されます。国民年金の場合、2013年9月まで78万6500円だった年金額が10月からは77万8500円になります。これはおよそ月額600円の減額です。
なお、この減額は老齢年金だけではありません。年金の加入者などが死亡した際、遺族に支給される遺族年金や、障害を負った場合の障害年金なども同じ率で減額されます。公務員の共済年金も対象です。ただし、老齢基礎年金にプラスして支給される「付加年金」は、減額されません。
年金は10月分、11月分が12月15日に支払われるので、実際の減額は12月からとなります。正確な金額は、12月に日本年金機構から届く「年金額改定通知書」で確認できます。2014年から4月からの消費税増税とあわせて考えると、少なからず年金生活者の家計はダブルパンチに!これからは年金減額を視野にいれた年金生活者の家計の見直しも必要になってくるでしょう。