■ 大雪に備える保険
今年の2月は120年ぶりという記録的な大雪が降りました。多くの地域でカーポートや家の屋根が雪の重みで崩れたり、自動車がカーポートの下敷きになって破損したり…という被害がでました。2月22日の日経新聞によるとこの雪による保険金の支払額は、大手損害保険3グループ合計で、600億円規模に上るそうです。三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に持つMS&ADホールディングスが200億円規模。 損保ジャパンと日本興亜損害保険をまとめる持ち株会社のNKSJホールディングスも200億円規模。東京海上ホールディングスは150億〜200億円規模。雪による損害の支払では過去最高額だそうです。
今回はこうした雪災のための補償を確認していきましょう。
【家】
雪災によって家の屋根が壊れた…という場合は火災保険で補償されます。住宅火災保険でも住宅総合保険でも雪災に対する補償はあります。火災保険には「建物」を対象とした契約と「家財」を対象とした契約がありますが、家は「建物」になります。「建物」を対象とした契約をしていれば支払いの対象となります。多くの保険会社では、自己負担額を0万円、5万円、10万円などに設定して「損害額−自己負担額」が支払われるという補償内容となっています。ただ、「損害額が20万円以上となった場合」や「損害額が10万円以上となった場合」いう補償内容になっているケースもあります。「損害額が20万円以上となった場合」とは、損害額が20万円未満であれば火災保険の支払い対象とならず、20万円以上になった場合に被害額の全額を支払うというものです。
【カーポート】
雪の重みでカーポートが壊れた…という場合は、「建物」を対象とした火災保険の補償内容が「建物付属物含む」となっていれば支払いの対象となります。多くの保険会社では建物付属物は火災保険に自動付帯されています。ただ、共済などでは建物付属物は補償の対象外となっています。「建物付属物含む」となっていた場合でも、やはり「損害額−自己負担額」が支払われるというもの、「損害額が20万円以上」あれば支払われるというものなどがあります。
【自動車】
カーポートが崩れて車が破損した…という場合には、車両保険に入っていれば支払いの対象となります。ただ、保険の利用には注意点があります。2013年10月からノンフリート等級制度が変更になり、従来の等級すえおき事故がなくなってしまいました。カーポートが崩れて車が破損した…という防ぎようのない事故でも、保険を使うと翌年から「事故有」となり等級も1等級ダウンになってしまいます。ですから翌年以降の保険料がアップする金額と修理額を比較して保険を使うべきか自分のお金で修理すべきかを検討したほうがいいでしょう。
また、スリップしてガードレールにつっこんで車が破損した…などという場合には「一般条件」の車両保険に入っていれば支払の対象となります。車両保険の契約には、「一般条件」と補償範囲を限定した「車対車エコノミー」などと呼ばれる契約があります。「車対車エコノミー」とは「一般条件」の車両保険よりも補償範囲を限定してあり、「一般条件」の車両保険より保険料が安くなっているものです。保険会社によって「車対車A」や「車両危険限定特約」と呼ばれています。「車対車エコノミー」ではガードレールにぶつかった…というような単独事故は対象外となっています。また「一般条件」の車両保険に入っていた場合でも、やはり保険を使うと「事故有」となり翌年から3等級ダウンになるため保険料がアップしてしまいますので注意しましょう。
保険はなにもなければ特に気にもしませんが、災害に遭ってみて改めて補償内容を意識するもの…。これを機会に補償内容をよくチェックしてみましょう。