■ 「先進医療特約」ってどういうの?
最近の医療保険やがん保険は「先進医療特約」をつけられるものが多くなっています。この特約は先進医療を受けたとき、技術料の実費分が保険でまかなわれるというものです。
「先進医療」とは、厚生労働大臣が承認した高度な医療技術を使った治療方法のことで、実施する医療機関も限られています。技術も医療機関も限られているため、どこでも受けられるわけではなく、実施している医療機関に行き、その治療をうけないといけないことになります。
なぜ先進医療特約があるのかというと、先進医療に関する部分の費用は健康保険の対象外だからなのです。たとえば重粒子線治療は先進医療として認められています。重粒子線治療の費用は約300万円かかります。一般の保険診療と共通する診察、検査、入院、薬代などは健康保険を適用できますので医療費の一部、たとえば3割を自己負担すればすみますが、先進医療部分は全額個人負担になってしまいます。
また、「高額療養費制度」という医療費が高額になってしまった場合に自己負担を抑える健康保険の仕組みも、健康保険対象外の先進医療では使えません。このように先進医療の治療内容によっては高額な負担を強いられることになるのです。
先進医療特約の特約料はとても安く、月100円程度です。わずかな負担で、高額になるかもしれない先進医療の費用をカバーすることができます。
「先進医療特約」は各保険会社によって保障額の上限があります。たとえば通算して「1,000万円まで」や「2,000万円まで」などのように決められています。先進医療を何回も受け、累計がこの上限額に達すると、この特約は消滅し保障はなくなります。
この先進医療特約は医療保険につける場合とがん保険につける場合で保障の対象となる範囲に違いがあります。医療保険のほうは先進医療技術すべてを対象としていますが、がん保険のほうはがんに特化した先進医療技術が対象です。
またひとつの保険会社で医療保険とがん保険の両方に加入する場合、両方の保険に先進医療特約をつけることはできません。どちらかひとつに先進医療特約をつけることになります。いっぽう2つの保険会社で医療保険とがん保険を別々に入る場合には、それぞれに先進医療特約をつけることができます。そして実際に先進医療を受けると、両方の保険会社から給付金を受け取ることができます。
ところで、先進医療を受けたとき、実際には治療費の支払期日までに、保険会社からの給付金の払い込みが間に合わないことが多く、いったん高額な治療費を一時的に負担し、後から給付金を受け取ることも多くあります。保険会社の中には先進医療給付金の支払い方法が保険会社から直接医療機関に支払われるものもありますので確認しましょう。
先進医療特約をつけるときには上記のようなポイントを確認したうえで検討しましょう。