■ 高齢者でも個人賠償責任保険を
高齢化を背景に、認知症の人が増えてきていることはいまや社会問題になっています。
認知症の人は、法律上、責任能力がないということなります。責任能力がない人が起こした不法行為は監督義務を負う人が賠償責任を負わなくてはなりません。
もしも損害賠償を請求されたときのための保険が個人賠償責任保険です。
個人賠償責任保険の補償の範囲は「他人のケガを負わせたり、他人の財物を壊したことによって法律上の損害賠償責任を負った場合」です。さらに、その損害の原因となる事故は「居住用住宅の所有・使用・管理に起因する偶然な事故」、または「日常生活に起因する偶然な事故」となっています。
個人賠償責任保険は1つの保険契約で配偶者、同居の親族、別居の未婚の子まで被保険者の範囲に含まれます。
また個人賠償責任保険は単体で契約するのではなく、自動車保険、火災保険、傷害保険などに特約として付帯します。
ここでちょっと注意点があります。例えば、自動車保険に付帯している場合、車に乗らなくなって自動車保険を解約すると、一緒に個人賠償責任保険もなくなってしまいます。補償内容をチェックしておきましょう。
@ 個人賠償責任保険特約を契約していますか?
A 被保険者は誰ですか?
B 充分な保険金額が設定されていますか?
C 示談交渉サービスが付いていますか?
ところで、数年前に認知症の男性が徘徊して鉄道の線路に入ってはねられた事故で、昨年、高齢の妻に対して鉄道会社に約360万円の損害賠償金を支払うように判決が下ったというニュースはとてもショッキングでした。監督責任がどこまで問われるのか気になるところです。
個人賠償責任保険は、他人をケガさせたり他人の財物を壊したことで損害賠償責任を負った場合が対象なのです。損害賠償請求の内容が鉄道会社の人件費だけだったら、補償の対象外となってしまいます。
最近では一部の保険会社から新型の賠償責任保険も登場しています。監督責任のある後見人が損害賠償を求められる場合に備えたものです。
損害賠償責任リスク、しっかり備えておきましょう。
ご自分やご家族の身の回りのリスクを確認して整理しておくことが大切ですよ。