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コラム
 

■ 少子化と人口の減少

 

「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログは、大きな話題となり、国会でも取り上げられました。しかし、本当に切実な問題として理解している政治家や官僚、その他多数の日本国民はどれだけいるのだろうかと、疑問に思います。私自身も含めて、「困っている人がいるんだね、大変だね」などと他人事として捉えるのではなく、もう少し広い視野でみて、日本の問題として、自分たちの将来につながる問題として、もう一度真剣に考えてみるべきだろうと思います。

 

2013年の日本の合計特殊出生率(1549歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子どもの数)は1.43で、出生数は1029,816人でした。過去の出生数は、第1次ベビーブーム期は約270万人、第2期ベビーブーム期は約210万人でしたが、1975年に200万人を割り込み、それ以降減少し続け、1984年には150万人を割り込み、それ以降も減少傾向にあります。

 

当然、少子化は人口の減少につながります。国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年推計)」によると、日本の人口は、2010年(平成22年)の12,806万人をピークに、長期の人口減少過程に入り、2030年(平成42年)に1億1,662万人、2048年(平成60年)には1億人を割って9,913万人となり、50年後の2060年(平成72年)には8,674万人になるとことが見込まれています。

2010年(平成22年)

2030年(平成42年)

2048年(平成60年)

2060年(平成72年)

12,806万人

11,662万人

9,913万人

8,674万人

高齢化率 23.0

高齢化率 39.9

 

つまり、50年後には、人口が現在の67%程度に減り、全体の40%程度が高齢者となると推計されているわけです。単純に考えると、50年後の日本では、現役世代は子育てをしながら、一人で高齢者一人分の年金を負担しなければならないし、医療や介護費用も負担しなければならない、という社会のイメージです。現役世代の給料がかなり増えていないと生活できそうにありませんね。または、例えば、高齢者にも79歳ぐらいまで働いてもらって、年金支給年齢を80歳ぐらいに引き上げ、医療も自己負担割合を7割に引き上げるなど、大きく社会保障制度の見直しをしなければならないかもしれません。社会保障制度がしっかりしていないと、生活格差が広がり、社会が不安定になり、犯罪が増えるなど治安も悪くなることもありますし、安心して暮らせる国ではなくなるでしょう。

今の子どもたちや、これから生まれてくる子どもたちの社会が、そんな社会になってしまっていいと思う人はいないでしょう。子や孫など若い世代に過剰な負担を押し付けないために、少子化問題をもっと国民全員で考えて、いい知恵を出していかないといけないと思います。

 

少子化の原因はさまざまです。夫婦共働きでなければ子どもが育てられないのに、保育園が足りないというのも、原因の1つでしょう。教育にお金がかかるのも原因でしょうし、非正規社員であるなど経済的に十分でない、安定していないといった理由で子どもを持てない人もいるでしょう。さらに、そういった経済的理由で、結婚しない人が増えていること(未婚化・非婚化)、結婚年齢や出産年齢が上がっていること(晩婚化、晩産化)なども問題となっています。ライフプランも多様化している現代社会で、結婚しないことも、子どもを持たないことも、人生の選択です。でも、本当は結婚したいのに、本当は子どもを産み育てたいのに、それが経済的な理由で叶わない、個人の努力ではどうしようもないのであれば、やはり社会環境を変えるしかないし、その方法の1つとして社会保障や社会福祉をより充実することも必要なのではないでしょうか。まずは、子どもを育てるために働かなければならないお父さんお母さんのために、十分な保育園を確保してあげてほしいですね。

 

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