■ 手取りが増えない?
「可処分所得」という言葉を知っていますか?
「可処分所得」とは「収入」から「税金・社会保険料」を差し引いた金額のこと。いわゆる手取り収入のことです。可処分所得が多いか少ないかで購買力の強さを測ることができます。
収入の伸び以上に税金や社会保険料の負担が増えると、可処分所得が減ってしまいます。実際にはだんだんと税金や社会保険料の負担は増え、特に高所得者ほど負担は増えています。
【税金の負担増加】
●高所得者の税金の給与所得控除の引き下げ
給与所得は収入から給与所得控除を差し引いて計算します。収入が多いほど控除額も多いのですが、上限額があり、いくら収入が多くても一定額までしか差し引けません。上限額は平成27年までは245万円でしたが、平成28年では230万円、平成29年では220万円に引き下げられます。それに伴って、上限額が適用される給与収入も1,500万円超が、平成28年では1,200万円超、平成29年では1,000万円超に引き下げられます。
【社会保険料の負担増加】
●厚生年金保険料の引き上げ
厚生年金保険料を計算する際の料率は平成16年から平成29年まで、毎年0.354%ずつ段階的に上昇し続けています(毎年9月に適用開始)。最終的には平成29年9月の18.3%で固定されます。
●国民年金保険料引き上げ
国民年金保険料の額は毎年度決められます。平成28年度(平成28年4月から平成29年3月)までの国民年金保険料は月額16,260円。(平成27年度は月額15,590円)物価変動や賃金変動の影響を受けて平成27年度から670円引き上げになります。
●高所得者の健康保険料引き上げ
健康保険の保険料は「どれくらいもらっているか」を等級ランクにあてはめ、等級が高いほど保険料が多くなっています。等級は上限があるのでいくら給与が高くても上限額以上の保険料にはなりません。平成28年4月からはこの標準報酬月額の上限及び標準賞与額の年間上限が引き上げられています。今までは標準報酬月額は、5万8千円から121万円までの47等級でしたが、3等級追加となり、上限額が139万円に引き上げられました。標準賞与額についても、現在の年間上限額540万円が573万円に引き上げらました。
●10月からパートタイマーの社会保険の加入要件拡大
「社会保険料の負担が大きいから夫の扶養の範囲で働きたい」という主婦の方も多いと思います。今までは社会保険の扶養の範囲が130万円でしたが、10月からは106万円に引き下がります。
106万円に下がるのは
以下の条件に該当した場合です。
@ 1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
A 月額賃金 88,000 円以上(年収 106 万円以上)であること。
B 当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれること。
C 通常の労働者(※適用拡大前の基準で社会保険適用対象となる労働者の数で算定)の総数が常時 500 人を超える事業所であること。
D 学生ではないこと。
私たちの生活支出は可処分所得の変化に直接影響を受けています。住宅ローンを抱えている人やお子様の教育費がかかる人など、大きな支出がある人ほど特に影響を受けやすくなっています。
お金を長期的に管理していくには「収入増加」「支出減少」と「運用」の3つが大切です。
「収入増加」は世帯単位で考え、可処分所得を長期的に増やしていくことを考えましょう
「支出減少」は電気代などの固定費や手数料負担などから検討してみましょう。
「運用」はお金を効率的に活用してお金に働いてもらうことです。これからの生活防衛のためには、「運用」に目を向けてスタートするのも一つの手ですね。