■“家計破たん”“老後破たん”しないために
年収800万円でも家計破たん!など、年収が割とあっても家計が赤字で破たん状態だったり、現役時代は悠々自適な暮らしだったのに老後は破たんしてしまったり…そのようなケースがネット上でも紹介されていて、ウチは大丈夫か?と心配されているご家庭も多いようです。
ある程度収入があるのに家計が「赤字」になる理由は、当然、お金の使い過ぎです。問題は、使い過ぎている(無駄遣いしている)つもりがないのに、使い過ぎている点です。
子どもが生まれても独身時代と同じような感覚でお金を使ったり、お金の管理をしていなかったり…ということが原因だと思います。「可愛い!」とか「これいいなあ」と思うものをワンクリックで購入したり、ショッピングモールに遊びに行って衝動買いしたり…洋服や化粧品、外食費、交際費など、いわゆる贅沢費がけっこう多いのが、収入があっても破たんする家計の特徴です。
さらに、教育費も家計の中では聖域になりやすく、習い事や塾などお金をかけ過ぎていても、子どものためと思うと削れなかったりします。また、幼稚園などではママ友とのお付き合いも多くなり、その分交際費も増えてしまうこともあります。
最近は「普通の生活をしているのに、お金が貯められない。」と相談に来られるケースも増えています。普通の生活とは、人それぞれ異なるものです。参考までに、手取り収入の半分以上を貯蓄しているご夫婦の“普通の生活”を紹介しましょう。
【鈴木さん夫婦の場合】
夫(39歳 会社員) 手取り収入 月28万円 ボーナス(夏 40万円・冬 40万円)
妻(37歳 会社員) 手取り収入 月25万円 ボーナス(夏 35万円・冬 35万円)
※収入は夫婦で手取り786万円(年収では800万円を超えています)です。
※子どもは3歳の女の子(保育園に通ってします)と、現在、第2子を妊娠中です。
※自宅(戸建て)は結婚と同時に購入し、すでにローンは払い終えています。
月々の支出
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月々の支出以外のもの(1年間)
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食費
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4万円
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車の税金
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4万円
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水道光熱費
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2万円
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車の保険
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2万円
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携帯電話など通信費
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1万円
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車検(1年分の負担)
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5万円
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保育園代
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2万円
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固定資産税
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10万円
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生命保険(学資保険含む)
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7万円
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火災保険
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1万円
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お小遣い・医療費・雑費
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4万円
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旅行費用その他交際費
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20万円
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月合計(年間合計)
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20万円
(240万円)
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年間合計
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42万円
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合計年間支出額
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282万円
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年間の手取り収入786万円 − 年間の支出額282万円 ≒ 年間貯蓄額500万円
※ただし、妻は出産後3年間育児休業。夫も育児休業を1年間は取得予定。
鈴木さん夫婦の話では、節約しようと思っているわけではなく、普通に生活をするとお金が余って貯まっていくとのことです。そこで項目ごとに少し話を聞いてみました。
食費は?
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外食は子供が小さいのでしない。お昼は二人ともお弁当持参。すべて自炊とのこと。
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光熱費は?
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共働きで家にいる時間は少ないし、テレビもない(子どものより良い環境のために)。
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携帯電話は?
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スマホではなく、ガラケー。それで不便なことはない。
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子どもの習い事は?
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これを習いたい!と子どもが言ったときに考えることにしているので、まだ何も習い事はしていない。
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生命保険は?
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掛け捨ては医療共済のみ。あとは終身保険、学資保険、年金保険。
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お小遣いは?
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洋服など物には全く興味なし。化粧品代と美容室に行く費用ぐらいで十分。夫婦のどちらか早く帰宅できる方が保育園に迎えに行って、夕飯を作るので、帰りに飲みにいくこともない。
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レジャー費は?
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子どもにどこに行きたい?と聞くと「公園!」というので、もっぱら近所の公園で遊ぶ。今は妊婦で、遠出はしないし、二人の実家も車で30分程度なので、実家に遊びに行ったりしているので、お金はかからない。
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趣味は?
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夫婦ともに山登りとランニングが好き。どちらもお金はかからない。
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鈴木さんの支出には、贅沢費がほとんどありません。鈴木さん夫婦は、今は子どもを育てることが一番大事と認識をしていて、育児休業を長くとることを希望しています。そのための貯蓄も必要なので、お互いに給与天引きで、手取りの半分は財形貯蓄もしています。育児休業から復帰したら、また、元のペースで貯蓄をしていき、教育費と老後の生活費を準備する予定です。
このようにお金の使い方、貯め方は人それぞれですね。毎月赤字になってしまう場合は、生活をするのに最低限必要なお金と、それ以外の贅沢費とに分けてみることから始めてください。そして、贅沢費は現金で払うようにしてみてください。カードを使わず、お財布にあるお金の範囲で、贅沢費を賄うようにすれば、赤字は解消されると思います。家計の破たんを避けるために、日々のお金の使い方を見直して、家計にあった貯蓄計画を立ててみてくださいね。