■「配偶者控除」廃止?
以前から「配偶者控除」についてはたびたび廃止案が浮上していましたが、ニュースによると2018年1月から「配偶者控除」の見直しを検討中とのことです。
●配偶者控除とは
「配偶者控除」は、「所得が一定以下の配偶者を養っているなら税金を安くしましょう」というもの。これにより年収が103万円までの妻を養っている夫は所得税が減税されているわけです。いわゆる「103万円の壁」です。妻の年収が103万円までなら夫の税金も安くなり、妻にも税金がかからないわけですから、年収を103万円までに抑えて、調整しながら働いている女性も多いでしょう。
「本当はもっと働ける環境にあるけど、税金がかかるよりは・・・」ということで調整しているならば、税制が働く意欲を抑えてしまっていることにもなります。また本当に働けない環境にある専業主婦の方との不公平を生むような状況になってしまっています。
「配偶者控除」が廃止されると夫は減税されなくなるのですから税金が増えます。「103万円の壁」もなくなります。
●130万円の壁も10月から106万円に
「103万円の壁」の他にも、パートなどの主婦が意識しているのが「130万円の壁」です。会社員や公務員の妻で年収が130万円までであれば、夫の被扶養者になり、妻は社会保険料を負担しなくてよいのです。
ところが、2016年10月から「130万円の壁」が一部の人にとっては、「106万円の壁」に引き下げられることになります。つまり妻も年収が106万円から社会保険料を納めることになります。
これは2016年10月から、パートなどの短時間労働者の厚生年金適用の基準が拡大されるからです。現在は週30時間以上のパートで厚生年金に加入することになっているのですが、
1)週20時間以上
2)年収106万円以上
3)勤務期間1年以上
4)従業員501人以上の企業
これらの基準すべてを満たす場合、厚生年金に加入することになります。今後も従業員数の規制を緩めて対象者を増やす方向のようです。
●気になる代替案
政府では「配偶者控除」の代替案を検討しています。夫婦共稼ぎ世帯にもメリットのある「夫婦控除」の創設もニュースになりましたが、まだはっきりしたことは公表されていません。また「所得控除」でなく「税額控除」にする案もでているようです。
「所得控除」とは税金を計算する途中の「課税所得」を一定額少なくできるものです。この「課税所得」に税率をかけたのが税額ですから、税率の高い(=所得の高い)人ほどメリットが大きくなるしくみです。
これに対して「税額控除」は税金が一定金額少なくなるものです。たとえば「▲10万円」というように所得が高い人も低い人も一律です。ただ、自分の税額が上限となりますので、そもそも「税額が3万円」というように所得が少なく税金の少ない人には控除しきれないデメリットもあります。
これらの動きは、女性の働き方に大きな変化をもたらすものとなります。今後の家計を安定させるには、世帯収入のアップが不可欠。
これを機会に、控除を気にして収入の上限を決めて働くのではなく、キャリアアップしながら収入アップを図ってみてはいかがでしょうか?