■ 公的年金の受給資格期間が10年に短縮
年金を受け取るために必要な期間(保険料納付済等期間)を25年から10年に短縮することになりました。この法改正は平成29年8月1日から施行されます。
公的年金には、国民年金(基礎年金)や、厚生年金があり、
第一号被保険者(自営業者など)と第三号被保険者(いわゆる専業主婦)は国民年金、
第二号被保険者(サラリーマンや公務員など)は、国民年金+厚生年金 に加入します。
また、この公的年金(国民年金・厚生年金)には、老齢年金・障害年金・遺族年金があり、
国民年金からは、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金が、
厚生年金からは、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金が、それぞれ一定の要件で支給されます。
今回の改正は、老齢基礎年金を受け取るために必要な期間のことです。
現状は、老齢基礎年金を受け取るためには、保険料を納めた期間、保険料を免除された期間、合算対象期間(いわゆるカラ期間)を合わせて25年以上必要で、その老齢基礎年金の受給に必要な期間がないと、老齢厚生年金も受け取れないという仕組みになっています。(老齢厚生年金を受け取るためには厚生年金の被保険者期間が1年以上あることも必要)
この老齢基礎年金(国民年金)を受け取るための期間(保険料を納めた期間+保険料を免除された期間+合算対象期間)が10年に短縮されることにより、老齢基礎年金を受け取ることができる人が増え、さらに老齢基礎年金に上乗せする形で老齢厚生年金を受け取ることができる人も増えるということです。
さらに、老齢基礎年金や老齢厚生年金は原則65歳から支給される年金ですが、60歳以上で、@老齢基礎年金を受け取るのに必要な資格期間を満たしていること、A厚生年金の被保険者期間が1年以上あること の受給資格を満たしている人で、生年月日の要件を満たしていれば、65歳までは特別支給の老齢厚生年金が支給されます。@の要件が10年に短縮されたことによって、65歳までの特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができる人も増えるでしょう。
【特別支給の老齢厚生年金】
男性(公務員の場合は男女共)
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女性
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報酬比例部分の支給開始年齢
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昭和28年4月1日まで
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昭和33年4月1日まで
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60歳
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昭和30年4月1日まで
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昭和35年4月1日まで
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61歳
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昭和32年4月1日まで
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昭和37年4月1日まで
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62歳
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昭和34年4月1日まで
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昭和39年4月1日まで
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63歳
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昭和36年4月1日まで
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昭和41年4月1日まで
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64歳
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10年に短縮されたことによって、年金を受け取ることができるようになる人(10年以上25年未満の人)は、どうすればいいのでしょうか?いつから年金がもらえるようになるのでしょうか?
●手続きは?
すでに65歳以上の対象者には平成29年2月末から順次、日本年金機構から年金請求書が届く予定です。年金請求書が届いたら、必要事項を記入して、住民票などの書類と併せて近くの年金事務所などに持参してください。(郵送でも提出はできます)
●いつから受け取れる?
すでに65歳以上で10年以上の対象者は、最も早くて平成29年10月です。以降、2か月分の年金を偶数月に支給します。年金額(老齢基礎年金)は、保険料を納めた期間に応じて変わります。10年間で計算すると、年間約19.5万円(月約1.6万円)です。
今回の改正は、現状年金を受け取っている人には影響はありません。無年金者(年金を受け取っていない人)を減らすことと、保険料の未納者が保険料を納める意欲を持ちやすいよう受給のハードルを下げることが目的のようです。詳細や不明点については「ねんきんダイヤル」0570-05-1165にお問い合わせしてくださいね。