■ モンテッソーリ教育について
史上最年少記録で将棋のプロ棋士となった藤井壮太さん。天才少年として日本中から注目を集め、幼少期の教育などについても話題となっています。
藤井壮太さんが通っていた幼稚園が「モンテッソーリ教育」を取り入れていたことも報道され、そのモンテッソーリ教育についても関心が高まっています。
【モンテッソーリ教育とは】
イタリアで医師マリア・モンテッソーリによって考案された教育法のこと。精神病院で働いていた時に、知的障害児への感覚教育法で知的水準を上げる効果を得て、その後、貧困層の健常児のための「子どもの家」を設立し、独自の教育法(モンテッソーリ教育)を完成させました。
モンテッソーリ教育の基本は、「子どもは、自らを成長・発達させる力をもって生まれてくる。大人(親や先生)は、その要求をくみ取り、自由を保障し、子どもの自発的な活動を援助する存在に徹しなければならない」という考え方にあります。
モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあって、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。その目的のために、マリア・モンテッソーリは子どもを観察し、その事実に基づいて教育法を構成し、独特の教具を開発しました。
モンテッソーリ教育においては、整えられた環境が重要で、それは@子どもが自由に教具を選べる環境で、A興味を持つ面白そうな教具があり、B社会性・協調性を育てるため縦割りの混合クラス編成で、Cそれぞれの発達段階に適した環境を整備し自己形成を援助する教師がいる環境をいいます。
教育の内容は、@日常生活の練習、A感覚教育、B言語教育、C算数教育、D文化教育 という実践課目が設けられていて、それぞれの課目には独特の体系を持つ教具が用意されて、子どもが選んだ教具を教師がやり方を提示して活動していきます。モンテッソーリ教育ではこの活動を「おしごと」と呼んでいます。子どもそれぞれが好きなおしごとを選ぶので、いわゆる一斉保育ではありません。
【モンテッソーリ教育を受けるには】
日本では小学校入学までの未就学児が主な対象で、幼稚園のような「子どもの家」か、モンテッソーリ教育を保育に取り入れている幼稚園や保育園に通うことになります。海外にはモンテッソーリ教育の小学校もありますが、日本には政府が認めるモンテッソーリ教育の小学校はなく、小学生の場合は放課後に塾のような形式で通えるところを探していくことになります。
モンテッソーリ教育を受けられる幼稚園を探す場合、自治体などから認可を受けている幼稚園でモンテッソーリ教育を取り入れている園か、幼稚園設置基準など満たしていないなど認可を受けていない塾のような園(この場合「〇〇子どもの家」という名称が多い)に大きく分かれると思います。
認可を受けている幼稚園の場合、園庭などの施設もあり、人数もそれなりにいて、一般的な幼稚園と同じように見えます。ちなみに藤井壮太さんが通っていたと言われている「雪の聖母幼稚園」は認可された幼稚園で、園庭もあり、ホールもあり、教室も広くて、子どもが伸び伸びできそうな印象です。また認可されているので所得に応じて国や県から対象世帯に補助金が給付されることも魅力ですね。
一方、幼稚園ではなく塾の「子どもの家」の場合、幼稚園設置基準などの縛りがないので、特徴が出しやすく、少人数であったり、園庭もなかったり、雑居ビルの中に入っていて狭かったり、先生も幼稚園教諭免許などもってなかったり…など様々なので、園の環境や園長、先生たち、他の園児たちなどをしっかり確認し、自分の子どもに合っているかどうかなどよく検討した上で入園しましょう。例えば、元気のいい活発な子は狭い教室ではトラブルメーカーになることもあり、認可されていないのでトラブルが発生した場合困ったことになるということも考えられます。また、費用も一般的な私立幼稚園よりも比較的高いところが多いです。
●費用(東京都内の園で比較)
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ある「子どもの家」
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ある「モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園」
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入園料
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205,200円
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保育料
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月々41,040円
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年少月々32,000円
年中長月々30,000円
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施設料
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年間61,560円
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月々8000円
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その他
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父母会やスクールバス等の費用が別途
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3年間の費用
(入園料・保育料・施設料)の合計
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1,867,320円
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1,392,000円
(自治体による私立幼稚園等補助金の対象)
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※上記は一例です。それぞれの園によって費用等は異なりますので、ご確認ください。また補助金についても自治体によって異なります。お住いの自治体のHPで補助金の内容や対象となる園についてご確認ください。
所感ですが、モンテッソーリの園といっても、同じモンテッソーリの教具が並んでいるだけで、それぞれ環境も教師も費用もまちまちです。特に教育ですから先生の質(人格・性格など)が子どもの成長に影響します。問題ありそうな園は園児が途中でやめたり、先生がよく替わるなど人の出入りが多かったりしますので、注意してください。子どもにいい教育と思う親心はわかりますが、けっこう高い費用負担でもありますし、とにかく事前に見学や体験にいくようにしてくださいね。