■ 年末調整で処理できない所得控除
サラリーマンは年末調整を受けるので確定申告をせず所得税が精算されます。
しかし、年末調整では処理できないものがあります。それは医療費控除・雑損控除・寄付金控除です。新しく始まったセルフメディケーション税制による医療費控除も年末控除では処理ができませんので、確定申告が必要です。
【医療費控除】
医療費控除とは、医療費が多くかかった年に、かかった医療費の一部を控除することです。
対象となる医療費には、病院での治療費のほか、通院のための交通費や薬局で購入した薬代、出産費用や不妊治療費、寝たきりの人のオムツ代なども含まれます。
※健康維持や美容のためのもの(例えば人間ドックやサプリメント、予防接種、美容整形など)は対象となりません。
※本人だけでなく、生計を一にする家族の医療費も合計できます。
・医療費控除の金額
その年中に支払った医療費−保険金などで補填される金額−(10万円または所得金額の5%、どちらか少ない金額)
※医療費控除額は最高で200万円
【セルフメディケーション税制】
セルフメディケーション税制とは、健康診断を受けるなど健康管理・病気予防に努力している人が対象の制度で、その年中に総額12,000円超の「スイッチOTC医薬品」を購入した場合、12,000円を超えた部分を所得から控除できる制度です。
※スイッチOTC医薬品とはもともと医師の処方がないと買えなかった医薬品で、今は薬局で買えるようになっている医薬品のこと。薬によってはパッケージに明記されているものもあるが、厚生労働省のHPや薬局で確認するとわかる。
※控除金額の上限は88,000円。
なお、従来の医療費控除とセルフメディケーション税制による医療費控除は、どちらか一方しか受けられません。
【雑損控除】
雑損控除とは、地震や台風・洪水、落雷など自然現象による災害、火災や爆発など人為による災害、害虫など生物による災害、盗難や横領などが原因で資産が損なわれた場合に適用される控除です。
・雑損控除の金額
下記のいずれか高い額が控除額
@(災害盗難等による損失額−保険金等で補填された金額)−合計所得金額×10%
A災害関連支出金額−5万円
※災害関連支出金額とは、災害により被害を受けた住宅の取り壊しや撤去費用、修繕費用のこと。
【寄附金控除】
寄附金控除とは、国や地方公共団体など特定の団体に寄附をした場合に受けられる控除のことです。ふるさと納税も、この寄附金控除に該当します。
・寄附金控除の額
下記のいずれか低い金額−2,000円
@特定寄附金の額の合計額
A装飾金額等の40%相当額
なお、ふるさと納税はワンストップ特例によって、確定申告しなくてもいいように手続きが簡素化されました。この特例は、確定申告不要のサラリーマンなどが対象で、ふるさと納税先が5団体以下の場合に、ふるさと納税先に申請書を提出すると利用できます。
平成29年は該当するものがありますか?節税も家計の節約の1つです。払い過ぎている税金がある場合には、面倒でも確定申告をして取り戻しましょう。