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コラム
 

■ 年金の繰下げ受給を考える

 

 65歳からもらえる老齢基礎年金(国民年金)や老齢厚生年金(厚生年金)は、繰下げて受給することができます。繰下げた年金額は月単位で増額され、その増額率は一生変わりません。

 増額率は、(65歳に達した月から繰下げ申請月の前月までの月数)×0.007 で計算します。

【繰り下げの増額率】

請求時の年齢

増額率

660ヵ月〜6611ヵ月

8.4%〜16.1

670ヵ月〜6711ヵ月

16.8%〜24.5

680ヵ月〜6811ヵ月

25.2%〜32.9

690ヵ月〜6911ヵ月

33.6%〜41.3

700ヵ月〜

42.0

※上記は昭和1642日以後に生まれた人の場合

70歳を超えて請求しても増額率は42.0%が上限

 

 最近、この年金の繰下げを検討している方々から相談を受けました。ここでは2つのケースを紹介します。

 

【ケース1】

・私は現在再雇用で働いており、もうすぐ65歳になるので年金生活に入る予定。

・妻が10歳年下の55歳で、現在会社員で60歳の定年退職まではこのまま働く予定。

・私の退職金と妻の収入で十分暮らしていけるので、私の年金の繰下げ受給を検討。その場合、その間、私の収入はないので、妻の健康保険の被扶養者になることは可能か?

  ↓

 妻の健康保険の被扶養者になるには、主として妻に生計を維持されていることが条件となります。生計維持の基準は、このケースでは、年間収入が180万円未満であって、かつ、妻の年間収入の2分の1未満であることです。つまり、このケースでは、年金を繰下げることで、妻の健康保険の被扶養者になることが可能です。

 

【ケース2】

・私と妻は同じ年齢でもうすぐ65歳。

・二人とも公務員として長年働き、定年後は再任用で働いているが、今年度でそれも終了となる。

・将来、例えば70歳を超えて私が先に死んだあと、妻が一人の年金収入だけで長生きをすることを考え、妻の年金は繰り下げ受給し、70歳から増額した年金を一生涯受け取る方が良いのではないかと思うが、どうだろうか?

  ↓

一般的に夫が死亡すると、要件を満たしていれば、妻には遺族厚生年金が支払われますが、このケースのように、妻自身の老齢厚生年金の受給権を有する場合は、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となります。そのことも考慮すると、妻の年金を繰下げることで増額しておくことで、一人分の年金になってもある程度の生活レベルは確保できそうです。この先、二人で老後を楽しみ、その後、妻が一人になっても大丈夫なようにと考えてのこの年金対策は、とても愛情を感じるいい方法だと思います。

 

 

以上、2つのケースを紹介しましたが、老後のマネープランはそれぞれのご家庭によって異なると思います。年金制度のことを多少理解し、ご自分たちにとった有効な受け取り方を選択するようにしましょう。

 

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