■ 住宅ローンの保険の注意点
住宅ローンを組むとき、金融機関のローンなら「団体信用生命保険」という保険への加入が条件になります。団体信用生命保険は以下のような特徴があります。
●保険金は金融機関が受け取る
団体信用生命保険は、住宅ローンを借りた人が死亡したり、高度障害状態になったりした場合に、住宅ローンの債務がなくなるというものです。保険金の受取人は本人や家族ではなく金融機関になっています。
●金利に保険料が組み込まれている
団体信用生命保険では、保険料を別途支払う必要はありません。金融機関に支払う金利分から金融機関が保険料を払っていることになります。フラット35は返済額とは別に年1回払いでしたが2017年10月以降申し込みの場合、金利に組み込まれ、年払いしなくてもよくなりました。
●保険料はローン残高による
保険料は年齢や性別による差はなく、住宅ローン残高によって決まります。そのため、年齢が若い人や非喫煙者などの場合には民間生命保険より割高になる場合もあります。また団体信用生命保険の保険料負担分は生命保険料控除を受けられません。
●保険期間は完済まで
保険期間は住宅ローンが終わるまでです。住宅ローンが完済すると保険は終了します。
●疾病保障付きローンの注意点
団体信用生命保険にはがんや急性心筋梗塞、脳卒中といった病気になったときにも住宅ローンの債務がなくなる「がん保障」や「3大疾病保障」というオプションがあります。
ただ、保障の要件が異なるので注意しましょう。がんと診断された時点で保障される場合と、一定の年齢以上でがんと診断され就業不能状態であることが保障の条件になる場合もあります。急性心筋梗塞や脳卒中の場合は、入院が要件の住宅ローンもあれば、労働できない状態が1年以上継続することが要件の住宅ローンもあります。
3大疾病保障に加えて、さらに5つの重度疾病特約がセットされた「8大疾病保障」が付けられる住宅ローンも多くあります。8大疾病保障も住宅ローンによって保障の要件が異なります。
保険料は住宅ローン金利に上乗せすることで付加できるようになっているのでローン契約によって増額される金額が異なります。多くは金利に0.3%程度上乗せされるケースですが、この場合、借入額や返済期間によって毎月の負担が違ってきます。
例えば2000万円を借りて、金利が1.2%、返済期間35年の場合8大疾病保障を付けることで、金利は1.5%になり、毎月返済額は2896円アップします。借入金額が2500万円の場合は金利が0.3%アップすることで、毎月返済額は3621円アップします。保障付きローンを検討するときは実際にいくらになるのか計算してみることが大切です。
すでに生命保険に加入している人はさらに住宅ローンの保険が加わると保障が過大になるケースがあります。また住宅ローンの保険だけではカバーできないものもあります。たとえば長期に療養が必要になり仕事ができない状態になった場合、ローン返済はなくなったとしても支出の補てんや収入の補てんも必要になるでしょう。効率的に保険に加入するためにも住宅ローンを組むときに現在加入している保険の内容を確認しておくといいですね。