■ 自営業者などの年金制度
日本の公的年金は加入が義務付けられています。その公的年金のひとつである国民年金は、国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入するものです。その国民年金には、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3種類があり、どの対象者かによって、保険料の納め方などが異なります。
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第1号被保険者
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第2号被保険者
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第3号被保険者
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対象者
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自営業者、学生、フリーター、無職の人など
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サラリーマンや公務員など、厚生年金の適用事業所に勤務する人
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第2号被保険者の配偶者で、扶養されている人(専業主婦など)
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保険料の
納付方法
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自分で納める
(免除や納付猶予の仕組みあり)
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厚生年金保険料に含まれていて、給与天引きで納付
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納付なし(配偶者が加入する年金制度が一括負担のため)
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老後の年金、
その他
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国民年金(基礎年金)のみ任意で、【付加年金】や【国民年金基金】などに加入できる
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国民年金(基礎年金)+厚生年金が受け取れる
勤め先企業の企業年金などがあればそれも上乗せされる
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国民年金(基礎年金)のみ
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自営業者の方など第1号被保険者の場合、保険料は自分で納めます。平成30年度の国民年金保険料は、月16,340円で、20歳から60歳まで40年間加入したとすると、年金額は779,300円(満額)です。原則、65歳から終身で受け取ることができます。
この国民年金に上乗せする形で、第1号被保険者が加入できる制度があります。一つが付加年金、もう一つが国民年金基金です。
【付加年金】
国民年金に付加する年金で、第1号被保険者や65歳未満の任意被保険者が任意で加入できる。
保険料
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月額400円(保険料は全額社会保険料控除の対象)
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年金額
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200円×付加保険料納付月数
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受取方法
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終身年金
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注意点
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任意脱退はできるが、途中での引き出しはできない。
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その他
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国民年金基金の加入者は付加保険料を納付できない。
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【国民年金基金】
付加年金同様、第1号被保険者や65歳未満の任意被保険者が任意で加入できる。都道府県単位で設立された地域型と、同種同業者によって全国単位で設立された職能型基金があるが、事業内容は同じ。
掛金
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給付タイプや口数によって異なるが、上限は月額68,000円(掛金は全額社会保険料控除の対象)
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年金額
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給付タイプや口数によって異なる
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受取方法
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終身年金・確定年金
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注意点
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任意脱退はできないが未納にすることで掛金の支払いは止まる。しかし、付加年金同様、途中での引き出しはできない。
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その他
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口数の増減ができるので、無理なく続けることができる。
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なお、付加年金も国民年金基金も確定給付年金です。どちらも物価スライドの制度がないのでインフレには弱い点に気をつけましょう。
その他にも、自営業者の方などが加入できる年金制度には、個人型確定拠出年金(iDeCo)もあります。確定拠出年金とは、掛金を積立ながら運用し、60歳以降に一時金や年金で受け取るというものです。メリットは掛金が全額所得控除になることや、運用益が非課税になることです。ただし、運用は自分でするので、運用の基礎知識は必要です。掛金の上限は月68,000円ですが、この金額は付加保険料や国民年金基金の掛金と合わせての上限です。運用の基礎知識があり、保険料(掛金)負担する余裕もあり節税効果がある人なら、付加年金(月400円)+個人型確定拠出年金(月67,600円)で加入し、年間816,000円の所得控除を受けて節税しながら、長期的に個人型確定拠出年金の運用をしていくという方法もおすすめです。