■ がん治療を支援する公的な制度
今回はがん治療中の経済的支援となる公的制度についてです。
国立がん研究センターの2007年の統計によると、日本人の2人に1人が生涯でがんになると言われます。
がんの治療は、がんの種類や進行状況によってお金のかかり方が異なります。治療費だけでなく、収入の柱となる人ががんにかかると、生活費にも支障が出てきます。
がんの治療に役立つ公的な制度を確認しておきましょう。
制度
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医療費・介護費の軽減
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生活費
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本人のため
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看護・介護者のため
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高額療養費制度
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〇
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〇
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医療費控除
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〇
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〇
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傷病手当金
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障害年金
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介護休業給付金
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〇
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介護保険
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〇
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〇
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●高額療養費制度
医療費が高額になったとき自己負担限度額以上にかかったらお金が戻ってくる制度です。
上限額は、年齢や所得に応じて定められています。
高額療養費制度は基本的にあとから自己負担額を超えた分が戻ってくる制度ですが、予め「限度額適用認定証」を取得し病院窓口に提示すると、窓口での支払いを上限額にとどめることできます。
「限度額適用認定証」の取得は加入している健康保険や国民健康保険などに問い合わせします。
●医療費控除
医療費が高額になったとき税金が安くなる制度です。
その年の1月1日から12月31日までの間に、本人または生計を一にする親族のために医療費を支払った場合で、「実際に払った金額 − 保険などで補填される金額」が10万円を超えるときは医療費控除が受けられます。
10万円に満たなくても、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額を超えたら医療費控除が受けられます。
医療費控除を受けるには確定申告が必要です。
●傷病手当金
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。
病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合、最長1年半まで支給されます。支給額はざっくり給料の67%です。
手続きは加入している健康保険に問い合わせします。(国民健康保険にはこのような制度はありません)医師の証明書と、会社からの証明書が必要になります。
●障害年金
障害年金とは、病気やけがによる障害のため、日常生活や働くことに支障が出た場合に支給される公的年金制度のひとつです。
初診日が国民年金あるいは厚生年金の被保険者期間中であり、原則として初診日から1年6ヵ月経過した時点の身体の状態が障害の状態に該当することが条件の一つです。
近くの年金事務所に問い合わせします。
●介護休業給付金
介護休業給付金は、家族を介護するために会社を休んでいるとき、ざっくりと給料の67%がもらえる制度です。同一家族について93日間分までが上限です。
休業中に80%以上の賃金を受けていた場合は支給対象外です。
介護休業給付金の申請手続きは、原則として、事業主を経由して事業所を管轄するハローワークに申請します。
●介護保険
65歳未満でもがんで要介護状態になったら、原則1割負担で介護サービスが受けられます。介護保険サービスを利用するには、要介護(要支援)認定の申請が必要です。
まずはお住まいの市区町村の窓口で本人または家族が介護認定の申請を行います。
これらの制度は基本的に自分で申請しなければ受けられない制度なので、まずはどんな制度があるのか「知っておく」ことが大切ですね。