■ 年金改正後の繰上げ繰下げ支給
2020年の年金改正で、2022年4月より、年金の受取開始時期の選択肢が拡大され、繰上げ支給の減率も見直されます。
ポイントは2つあります。
@ 繰下げ支給が75歳まで拡大され、選択肢が増える
→現状、繰下げ支給は70歳までですが、改正後は75歳までに繰り下げることができるようになります。75歳まで繰り下げれば、年金額は84%増額されます。たとえば、100万円の年金が、184万円になる計算です。65歳から100万円の年金を受け取り始め、22年間受け取れば2200万円、繰り下げて75歳から184万円に増額した年金を受け取り始めれば、12年間の受け取りで2208万円となりますから、86歳が分岐点といえます。ただし、年金にも所得税などがかかるので、実際には計算してみないと分かりません。
A 60〜64歳の繰上げ支給の減額率が下がるため、選択しやすくなる
→現状では、1ヵ月繰り上げると0.5%減額します。だから、5年間繰り上げて60歳から受け取ると30%減額されます。改正後は、1ヵ月繰り上げると0.4%の減額となり、60歳から受け取ると24%減額となります。たとえば、100万円の年金を65歳から受け取り始めると、12年間受け取って77歳で1200万円となります。繰り上げて60歳から30%減額で受け取ると、17年間受け取って77歳で1190万円、改正後の24%減額で受け取ると、17年間受け取って77歳で1292万円となります。こちらも、所得税などがかかるので、実際には計算してみないと分かりませんが、繰り上げ支給による減額率が下がることで、選択しやすくなります。
【繰上げ・繰下げ支給の増減率】
受取開始年齢
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改正前
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改正後
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60歳
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△30%
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△24%
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61歳
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△24%
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△19.2%
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62歳
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△18%
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△14.4%
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63歳
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△12%
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△9.6%
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64歳
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△6%
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△4.8%
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65歳
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―
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66歳
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8.4%
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67歳
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16.8%
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68歳
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25.2%
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69歳
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33.6%
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70歳
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42%
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71歳
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50.4%
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72歳
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58.8%
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73歳
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67.2%
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74歳
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75.6%
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75歳
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84%
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年金額は繰り上げたり繰り下げたりした場合、その金額がずっと続くことになりますから、注意が必要です。何歳から受取開始するのか、ご自身のライフプランに合わせてよく考えて選択するようにしましょう。