■ 2022年 確定拠出年金の改正
今年は確定拠出年金が誕生して20年。いまや多くの人が加入しています。企業型確定拠出年金は厚生年金加入者の5人に1人が加入しています。個人型確定拠出年金(iDeCo)は約182万人が利用しています。(令和2年12月末現在)今後さらに活用の幅が広がるよう改正されます。
2022年からの改正点は4つあります
1 受給開始年齢が60歳から75歳までの間で選択可能(2022年4月〜)
2 iDeCoの加入資格が65歳に拡大(2022年5月〜)
3 企業型確定拠出年金の加入資格が70歳に拡大(2022年5月〜)
4 企業型確定拠出年金加入者がiDeCoに加入しやすくなる(2022年10月〜)
1受給開始年齢が60歳から75歳の間で選択
確定拠出年金には企業型と個人型(iDeCo)があります。受給開始年齢は、ともに現行では60〜70歳の間で受給開始時期を選択できるようになっています。これが60歳〜75歳の間で選択できるようになります。
2個人型(iDeCo)の加入資格について
個人型(iDeCo)の加入者資格は60歳までとなっています。2022年からは65歳まで加入できるようになります。
ただ個人型(iDeCo)は「ベースとなる公的年金の保険料を納めている人」が上乗せとして掛金拠出できる、という原則があります。国民年金保険の加入は基本的に60歳までです。60歳以降も会社員として厚生年金保険料を納めている人であればiDeCoに加入できます。自営業者の人や専業主婦の人は、60歳以降国民年金に任意加入して国民年金保険料を納めればiDeCoの掛金も拠出できます。
3 企業型の加入者資格について
企業型の加入者資格は基本的に60歳までですが、規約(会社のルールのこと)により65歳とすることができていました。。これが規約により70歳まで加入できるようになります。
また現行では60歳以上になっても企業型に継続して加入するための条件として、60歳となる前から同一の事業所で続けて雇用されている必要がありますが、この制限がなくなります。改正により60歳以降それまで勤めていた会社から他の会社に転勤することになった人なども企業型に加入できることになります。
3 企業型加入者がiDeCoに加入しやすくなることについて
現行では企業型に加入している人がiDeCoも同時に加入したい場合、労使合意の上で、会社が規約の掛金上限額を下げてiDeCoも加入できるような内容にしていれば企業型とiDeCoを併用することができます。
企業型の掛金上限は55,000円(他の企業年金がある場合は27,500円)ですが、会社が労使合意の上掛金上限を35,000円(他の企業年金がある場合は15,500円)にして20,000円の枠をつくりiDeCo同時加入も可だという規約になっていることが前提です。
実際にはiDeCoと併用できるような規約になっている会社が少ないのです。規約を変更するには他の加入者の同意も必要です。
そこで改正により2022年からは労使合意により規約で掛金上限を下げていなくても、iDeCo加入を認める規約になっていなくても、掛金上限額に余りがある場合にはiDeCoに加入できるようになります。規約上は掛金上限が55,000円や27,500円のままだとしても実際の事業主掛金が55,000円や27,500円に満たない金額で拠出されているのであればその余りの枠でiDeCoに加入できるようになります。
4受給開始年齢が60歳から75歳の間で選択
受給開始年齢は、個人型(iDeCo)と企業型とで違いはなく、ともに現行では60〜70歳の間で受給開始時期を選択できるようになっています。これが60歳〜75歳の間で選択できるように拡大されます。