■ 子どもの自殺者数
子どもの自殺が増えている、そんな衝撃的なニュースを目にしました。
「2020年に自殺した児童生徒の数が前年比で約4割増の479人に上り、過去最多だった」と文部科学省のまとめで分かりました。特に女子高校生は138人と倍増し、コロナによる長期休校が明けた6月や8月が多かったとのことです。
【児童生徒の自殺者の推移(厚生労働省まとめ)】
2016年
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2017年
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2018年
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2019年
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2020年
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289人
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315人
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333人
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339人
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479人
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2020年の学校別の内訳は、小学生が前年より8人増えて14人、中学生が40人増えて136人、高校生が92人増えて329人となっています。
把握されている主な自殺の原因や動機は、最も多かったのが「その他進路に関する悩み」でした。
(厚生労働省「自殺の統計:各年の状況」及び特別集計をもとに文部科学省作成資料より)
順位
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項目
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数
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大項目
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1
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その他進路に関する悩み
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55
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学校問題
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2
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学業不振
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52
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学校問題
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3
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親子関係の不和
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42
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家庭問題
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4
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病気の悩み・影響(その他の精神疾患)
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40
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健康問題
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5
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病気の悩み・影響(うつ病)
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33
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健康問題
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6
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家族からのしつけ・叱責
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26
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家庭問題
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7
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その他学友との不和
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26
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学校問題
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8
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入試に関する悩み
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18
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学校問題
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9
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失恋
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16
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男女問題
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10
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その他家族関係の不和
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16
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家庭問題
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※ただし、自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている。
いったい子どもたちに何が起こっているのでしょうか。
そして、もう一つ衝撃的なニュースがありました。いじめが低年齢化しており、「いじめのピークは小学校2年生である」とのこと。コロナ禍でいじめも増えているそうです。しかも無視や噂話などの「コミュニケーション操作系のいじめ」で、被害や攻撃性が見えにくい「陰湿ないじめ」が主流のようです。それを小学校2年生の児童がやっていると思うと、本当に恐ろしいと思うのは私だけではないでしょう。
専門家によると、自分より弱い立場の子をいじめるのは、子どもの性格が悪くなったわけではなく、小さい頃からストレスをためこむ子が増えたから。つまり、幼い子にもルールやマナーなど高い規範意識を求める大人たちが増え、結果、子どもたちの生きづらさがピークに達しているということです。表面上「いい子」だと思われている子が、そんなストレスをためこみ、自分より弱いと思った子をいじめの標的にしている、それが今の小学生の社会だとしたら、そして、それが子どもたちの心に問題をもたらし、自殺にも繋がっているかもしれないと思うと、不安な気持ちでいっぱいになります。
私たち大人の社会もたくさんの問題があり、たくさんのストレスがあります。私たちはそれにどう対峙し、どうのりこえるのか、それを子どもたちに見せてあげることが大事なのではないでしょうか。子どもたちが生きづらさを感じているのは私たち大人のせいであり、大人が作った社会です。一人一人が心に少し余裕をもち、寛容な社会に少しづつでもなれば、子どもたちもストレスが減り、いじめも減り、自殺も減るのではないかと思っています。
日本の将来を担ってくれる子どもたちを、のびのびと心も体も健全に育てていきたい、そのためにどうすればいいのか、知恵を出し合える国、地域の一員でありたいです。国民全体の課題として共有できればいいですね。