■ 変額保険について
今回は死亡時の保障を得ながら、運用によって資産形成にもなる「変額保険」についてみていきましょう。
●特別勘定で運用
一般的な保険は、保険会社が保険料を集めて「一般勘定」でまとめて、保険金の支払いに充てるために運用しています。その運用にあたっては、主に債券で安定的に運用しています。もしも運用状況が予定どおりにできなかったら、その責任は保険会社が負うことになります。加入者の保険金や解約返戻金に影響はありません。
いっぽう変額保険は保険料を「特別勘定」で、個々の契約ごとに運用商品を定めて運用されます。投資信託のように国内株式や外国株式、外国債券などの対象で運用でき、運用結果しだいで将来受け取る保険金や解約返戻金が増減します。特別勘定で運用する場合の運用責任は契約者側にあります。運用結果によっては解約返戻金等が払い込んだ保険料を下回ることもあります。
●インフレリスクに対応できる
契約時に将来の受取金額が決まる商品は、安心である一方、インフレリスクがあります。インフレリスクとは物価上昇によるお金の価値の下落のことです。たとえば30年後に1000万円受け取れる契約をしたとします。30年間ずっと物価が1%で上昇し続けていったとすると30年後に受け取る1000万円は実質740万円の価値になってしまいます。1000万円の価値を保つためには物価上昇率以上の運用をしなければなりません。
いっぽう、変額保険は、運用によって物価上昇率以上の利回りが期待でき、将来受け取るお金の価値を守ることができます。
●ドルコスト平均法を使える
月払を例にすると変額保険は毎月一定額の保険料を掛けていくことになります。これはドルコスト平均法という投資方法を自然に行うことができます。
たとえば毎月3,000円で株式を買うとします。株価が安いときには3000円でたくさんの株式を買えます。株価が高いときは3000円で買える株式は少なくなります。安いときに多く買い、高いときには少なく買うという効率的な方法となります。
そして一括投資と比べて毎月購入する方法は、毎月購入するごとに購入価格が平均化され、価格変動リスクを軽減できます。
変額保険はこのような方法で資産形成が大きくできます。
●保険料が安い
変額保険は、一般的な保険と比べると、運用リスクがある反面、保険料が安くなっています。保障を準備するなら一般の保険(定額保険)より変額保険のほうが効率的となります。
●保険の税制が使える
これはあくまで保険なので、保険の税制が使えます。
保険料を掛けたときは、生命保険料控除の対象となります。
運用して解約返戻金等が増えたとしても受取時まで課税は繰り延べられます。利益が出る都度で税金が差し引かれる一般的な金融商品と比べると、税金を差し引かれずに運用に充てられるので大きく増やすことができます。
受取時は、一時所得扱いになるので、増えた分がそのまま課税対象となるのではなく、増えた分から50万円の特別控除を差し引けます。(50万円までの利益なら税金がかからないということです)さらに50万円を差し引いた残りの2分の1が税金計算の対象になります。
●コストがかかる
一般の保険(定額保険)と比較すると投資信託のように運用するための「運用関係費」がかかります。
また保険であるため、投資信託等と比べると、保険であるため「保険関係費」がかかります。
●元本割れをすることもある
変額保険の運用結果しだいでは、払った保険料を下回ることがあります。とくに短期間で解約すると、コストのほうが運用収益を上回り、元本割れすることがあります。ただし、死亡した場合の基本保険金は、運用実績に関係なく最低保証されます。
●変額保険のタイプ
変額保険は大きく分けて「変額有期保険」「変額終身保険」「変額個人年金保険」の3つがあります。
「変額有期保険」・・・養老保険の変額保険タイプです。
「変額終身保険」・・・終身保険の変額保険タイプです。
「変額個人年金」・・・個人年金保険の変額タイプです。
●変額保険がよい人
・保険料を抑えながら保険で資産運用もしたい人
・長期で運用できる人
・自分で投資商品を選択するのが難しい人
などが向いていると言えます。
投資信託と比べると保険機能がついているところが大きな違いです。保険は、受取人を指定する契約なので相続のときに誰に財産を承継したいかを明確にでき、「500万円×法定相続人数」までの非課税枠もあります。これは一般の金融商品にはない特徴です。どのような人にも相続は発生するので保険機能がついているという点で変額保険の活用も一つです。
つみたてNISAは運用期間が20年という期間がありますが、変額保険はさらに長期に運用することができるので若い人にこそ向いているといえます。
このような特徴を理解しておくことが大事です。