■ 住宅金融支援機構の【リ・バース60】
今回は【リ・バース60】についてです。住宅金融支援機構の【リ・バース60】は、満60歳以上の方のための住宅融資保険付きリバースモーゲージ型住宅ローンです。
●そもそもリバースモーゲージとは
リバースモーゲージとは、自宅を担保にした借入れのことです。自宅にはそのまま住み続けることができ、借入れした人が死亡したときに担保となっていた自宅を処分することで借入金を返済するしくみです。
リバースモーゲージの「リバース」は逆という意味、「モーゲージ」は担保という意味です。普通の住宅ローンは、土地を担保にお金を借りて、借り入れた金額は月々返済して少なくなり、最終的に借入残高がなくなります。いっぽうリバースモーゲージは土地を担保に借入れた金額はどんどん増え、死亡後にまとめて返済するしくみです。そうしたことから、「リバースモーゲージ」という名前がつけられています。
リバースモーゲージには従来から社会福祉協議会のものや一部の金融機関で扱っているものがありましたが、住宅金融支援機構から【リ・バース60】というリバースモーゲージ型の住宅ローンが誕生しました。
●【リ・バース60】の特徴
普通の住宅ローンでは、元金と利息を毎月返済しますが、【リ・バース60】は利息のみを返済するしくみです。据え置いている元金の返済は、債務者が亡くなったときに担保不動産の売却か現金一括返済のどちらかを選択して行います。
配偶者を連帯債務者として借り入れをする場合は、主となる債務者が亡くなった後も、連帯債務者は利息を払い続けることでそのまま自宅に住み続けられます。
相続が発生した際、「ノンリコース型」と「リコース型」の2種類があり、どちらかを選択できます。
•ノンリコース型・・・相続人は残った債務の返済義務がない
•リコース型 ・・・相続人は残った債務の返済義務がある
ノンリコース型は担保不動産の価値が下がって不動産の売却代金が借入元金に満たなくなってしまった場合でも、相続人は残った債務を返済する必要がありません。ただし、ノンリコース型は、リコース型に比べて適用金利が高くなることがあるので注意が必要です。
【リ・バース60】は住宅金融支援機構のしくみですが、申込み窓口は金融機関となります。
なお、50歳から60歳までを対象とした【リ・バース50】もありますが、融資額が【リ・バース60】よりも少なくなっています。
●【リ・バース60】の利用例
【リ・バース60】は次の資金に利用できます。
・本人の居住する住宅の建設資金・購入資金
・老朽化した自宅のリフォーム資金
・住宅ローンの借り換え資金
・サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金
・子世帯などが居住する住宅の取得資金を借り入れるための資金
社会福祉協議会が提供しているリバースモーゲージは、自立支援を目的としているため、生活資金の貸付となっています。
一部の金融機関が提供している金融機関独自のリバースモーゲージは使用目的が自由となっています。
【リ・バース60】は住宅ローンなので住宅資金の貸付であり、生活資金の貸付ではありません。
●メリット
・返済が利息のみで月々の返済負担が小さい
・収入が公的年金のみでも借りられる
・体況が団体信用生命保険に加入できない人でも借りられる
・住宅に関するお金を借りることで貯蓄残高の目減りを少なくできる
●注意点
・担保不動産の評価額の50〜60%程度までしか借りられない
住宅の新規購入・建築資金を借り入れする場合、担保不動産の50〜60%程度までしか借りられないので、40〜50%程度の自己資金が必要です。
また住宅ローンの借換えの場合、担保不動産の50〜60%程度までしか借りられないので、住宅ローンの残債が担保不動産の50〜60%よりも多い場合は、担保不動産の評価不足により融資を受けられない可能性があります。
・金利変動リスクがある
基本的に変動金利となっているので、今後市場金利が上昇することがあれば、月々の返済額が想定外に増えてしまうことがあります。
60歳以上で「手元のお金をあまり減らしたくない」「老後資金が十分ではない」「自宅を相続させる必要がない」という人で、建て替えや住み替え、リフォーム、住宅ローンの借り換えなど、「住まいの資金がかかる」という場合に【リ・バース60】を活用するのも一つといえます。
参考:【リ・バース60】https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/yushihoken_revmo/index.html