■ iDeCoの改正 (2022年)
iDeCoの2022年から改正される主な内容は以下の3つです。
・受給開始時期の選択肢の拡大
・加入可能年齢の拡大
・企業型確定拠出年金加入者のiDeCo加入条件の緩和
【受給開始時期の選択肢の拡大】
2022年4月から、iDeCoの受取開始年齢が75歳まで延長されます。これは国民年金の繰下げ受給が75歳まで延長となるのに合わせたものです。現在の受取開始年齢は60歳から70歳までなので、それが2022年4月からは60歳から75歳までになり、受け取るタイミングの選択の幅が広がります。また、iDeCoは受け取るまで非課税で運用できるので、運用期間を延ばせることもメリットになります。
【加入可能年齢の拡大】
2022年5月からiDeCoの加入可能年齢が5年延長になります。現在、iDeCoの加入可能年齢は60歳未満です。これが65歳未満になります。ただし、対象となるのは、第2号被保険者である会社員・公務員または国民年金の任意加入者です。60歳以降も働き続ける人も多く、そういった場合に、加入期間が5年間長くなり、税制メリットを受けながら老後資金を積み立てることができるのはメリットです。
なお、2022年5月前(改正前)に60歳になった人は、現行法に従って、60歳の誕生月の拠出を最後に積立ては終了します。その後、2022年5月に法改正が実施されれば、条件によっては、拠出が再開できるようになります。条件は確定拠出年金を受給していないことと、国民年金に任意加入しているか厚生年金に加入(つまり第2号被保険者)していることです。ただし、60歳から2022年5月までの期間の掛金を、2022年5月以降にまとめて拠出するようなことはできません。
【企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者のiDeCo加入条件の緩和】
2022年10月から、企業型確定拠出年金加入者がiDeCoに加入しやすくなります。現状でもiDeCoに加入はできますが、労使合意に基づく規約の定めがあり、実際には加入できない人が多いのが実状です。改正後は、労使合意の規約や事業主掛金の上限の引き下げがなくても、全体の拠出限度額から事業主掛金を控除した残りの範囲内で加入できるようになります。ただし、月額2万円または1.2万円の上限があります。
拠出限度額
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企業型DCのみに加入する場合
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企業型DCと確定給付型に加入する場合
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企業型DCの
事業主掛金
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5万5000円/月
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2万7500円/月
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iDeCoの掛金額
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5万5000円−企業型DCの事業主掛金額
(ただし、2万円が上限)
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2万7500円−企業型DCの事業主掛金額
(ただし、1万2000円が上限)
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すでにiDeCoに加入している方も、これからiDeCoに加入しようと思っている方にも、これらの改正はプラスになると思います。どの改正が自分に関係あるかなど確認し、上手にiDeCoを活用しましょう。iDeCoには手数料がかかるので、その点は確認が必要です。しかし、節税効果もあり、老後の資産形成には有効な制度です。老後のマネープランを立てる際には、公的年金+企業年金(退職一時金も含む)+iDeCo+個人年金保険や財形年金+貯蓄などの資産等、トータルで考えてみましょう。老後のための資産形成は、出来るだけ早めに始めることがポイントです。