■ 住宅ローン減税の改正
2022年4月から住宅ローン減税が改正になります。ポイントについてみていきましょう。
住宅ローン減税とはマイホームをローンで購入した場合、所得税が安くなる税額控除です。住宅ローンの負担を考慮して所得税額から一定の計算で求めた金額を差し引けるというものです。自分の所得税額より控除額の方が多く引ききれない場合は住民税からも一部控除できる制度です。制度を受けるためには初年度に確定申告する必要があります。
●住宅ローン減税は2025年まで延長
そもそも住宅ローン減税の制度は時限的なもので恒久的な制度ではありません。現行では2021年末で期限となっていましたが、改正により4年間延長され、2025年末が期限とされました。
●控除率が1%から0.7%へ
税額から控除できるのは「年末の住宅ローン残高×控除率」で計算した金額です。従来は控除率が1%でしたが改正後は0.7%に下がります。背景には住宅ローンの金利が低くなっていて変動金利は1%を下回ってきていて、税額控除のほうが高くなってしまう「逆ザヤ」の問題がありました。
●控除期間が原則10年から13年へ
控除をうけられる期間は本来は10年ですが、消費税が10%に上昇したことで負担増加を軽減するために一定条件を満たした場合には特例として13年間控除が受けられるようになっていました。改正後は原則13年となります。
●所得要件は2000万円へ
住宅ローン減税を受けられる人の所得上限は現行の3000万円から2000万円に引き下げられました。
●年末住宅ローン残高の上限額が細かく区分
年末ローン残高の上限額は住宅の種別や居住年等により異なります。従来は住宅の種別は「認定住宅(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅)」か「一般住宅」という区分だけでしたが、改正で「ZEH水準住宅」や「省エネ基準適合住宅」という区分もできました。
ZEH水準住宅とはゼロエネルギーハウスのことです。省エネ基準適合住宅とは国が定める省エネ基準を満たした住宅のことです。環境性能が高いほど控除額が多くなっています。
また2022〜2023年までの入居に比べて、2024〜2025年の入居のほうが控除額が少なくなります。一般住宅の場合は2024〜2025年は控除期間が10年になります。
住宅の種別
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居住年
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年末ローン残高上限額
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控除率
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控除期間
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最大控除額
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認定住宅
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2022〜2023年
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5000万円
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0.7%
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13年
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455万円
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2024〜2025年
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4500万円
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410万円
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ZEH水準住宅
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2022〜2023年
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4500万円
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410万円
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2024〜2025年
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3500万円
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319万円
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省エネ基準適合住宅
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2022〜2023年
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4000万円
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364万円
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2024〜2025年
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3000万円
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273万円
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それ以外の住宅
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2022〜2023年
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3000万円
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273万円
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2024〜2025年
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2000万円
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10年
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140万円
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住宅ローンを利用した住宅の取得を考えている場合は、購入する住宅の環境性能や居住年についても検討することをお勧めします。