■ 結婚について
厚生労働省が発表している人口動態統計(概数)によると、2020年の婚姻件数は52万5490組で、前年より7万3517組(約12%)減少し、戦後最少となりました。婚姻率は0.43%(人口1000人に対して結婚した人は4.3人)でした。
婚姻件数の推移は、1972年の109万9984組がピークで、その後は増減しつつ、右肩下がりで推移しています。
人口の減少や高齢化を背景に、結婚に対する価値観の変化なども大きく影響しているといわれています。
内閣府による調査(平成21年度インターネット等による少子化施策の点検・評価のための利用者意向調査)で、未婚者に結婚していない理由を聞いたところ、下のような結果でした。
【結婚していない理由<未婚者>上位5項目(男女別)】
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男性
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女性
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1位
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適当な相手にめぐり合わないから
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55.4%
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適当な相手にめぐり合わないから
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58.8%
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2位
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結婚後の生活資金が足りないから
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35.6%
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自由や気楽さを失いたくないから
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36.9%
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3位
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結婚資金が足りないから
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31.6%
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必要性を感じないから
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32.3%
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4位
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自由や気楽さを失いたくないから
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29.2%
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趣味や娯楽を楽しみたいから
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23.5%
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5位
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必要性を感じないから
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24.7%
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結婚後の生活資金が足りないから
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22.9%
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※複数回答可
このように、男女とも「適当な相手にめぐり合わないから」が過半数を占めています。その他をみると、男性は経済的な理由が多く、女性は自分のライフスタイルを優先するための理由が多い傾向があります。
これまで結婚はライフイベントの代表的なものとされてきましたが、その常識はだんだんと崩れてきているように感じます。若い世代からは「結婚にメリットを感じない」という声も聞こえます。結婚への「あこがれ」は薄れ、もっと現実的な視点で考えていて、誰かと生活することによって窮屈に感じるし、お金も時間も自由に使いたい、というのが本音のようです。ライフプランも家族単位で考える時代から、個人単位で考える時代にシフトしているのかもしれません。
しかし、婚姻件数(婚姻率)が減少していけば、さらに少子化はすすみ、日本人の人口はどんどん減っていきます。国として、それでいいわけではないので、速やかに効果的な政策の実行が求められます。
結婚制度が時代に合わなくなっているのであれば、制度自体を見直すことも必要かもしれません。○○家という概念がもう古く、夫婦別姓や事実婚など、もう少し自由にパートナーを持つことができるほうが受け入れやすくなるでしょう。ただ、そうなると、子どもができた時や相続時などに別の問題が出てきそうです。
いずれにせよ、日本の社会が、適当な相手(人生のパートナー)とめぐり合える機会も増え、若い人が経済的に生活しやすくなり、子どもを産み育てやすいように変化していかなければ、年金や健康保険などの社会保険制度をはじめ、さまざまな社会の仕組みが立ち行かなくなってしまうでしょう。
婚姻件数(婚姻率)の減少は若い人たちだけの問題ではありません。国民全体の課題として、ひとり一人が真剣に考えてみてほしいと思います。