■ 認知症に備える
人生には4つのリスクがあるとよく言われます。認知症もリスクの一つです。
●人生の4つのリスク
人生には4つのリスクがあると言われます。「死亡のリスク」「病気のリスク」「介護のリスク」「長生きのリスク」。このうち介護のリスクは高齢化社会に伴うリスクです。かつてはよく「死亡」「病気」「長生き」で3つのリスクと言われていました。
「介護のリスク」は自分や家族が要介護状態になったら生じる経済的なリスクです。実際に介護にかかるお金は介護保険ではすべてをまかないきれません。介護保険があっても、介護費用の原則1割負担なので1割の自己負担額がかかります。また介護施設の入居費など介護保険が効かない費用があります。そもそも介護保険は3年に1度見直すことになっているので、制度改正内容によって自己負担額が増えてくるかもしれません。実際に介護保険が誕生してから20年経ちましたが、3年に1度、だんだんと少しずつ負担が増えています。介護リスクについては早いうちから介護費用の備えをしておくと安心です。認知症のリスクもこの介護のリスクといえます。
●認知症は増加の予測
高齢化とともに認知症患者数も増加しています。内閣府「平成29年度版高齢社会白書」によると65歳以上の高齢者で認知症になる人は2030年には830万人、2060年には1154万人に年々増加すると推計されます。
●認知症になったら家族の負担が不安
厚生労働省「認知症に関する世論調査(令和元年12月調査)」で、「認知症になった場合どのようなことに不安を感じますか?」というアンケート調査によると、家族に負担をかけることを不安に感じる人が多いようです。
家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか・・・73.5%
家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまうのではないか・・・61.9%
家族や大切な思い出を忘れてしまうのではないか・・・57.0%
買い物や料理車の運転などこれまでできていたことができなくなってしまうのではないか・・・56.4%
外出した際に家への帰り道ができなくなってしまうのではないか・・・44.1%
本人や家族が認知症に対する理解を深め、予防をしたり、早期治療や認知症になったときの備えをしておいたりすることで不安が軽減されます。
●早期ケアが大事
認知症の発症前に軽度認知症(MCI)という認知症予備軍といえる状態があるそうです。この段階で発見し、適切なケアを行うことで症状が回復したり認知症の発症を遅らせたりできる可能性があります。
・本人または家族がみて記憶障害がときどきある。
・日常生活動作は正常
・全体的な認知機能は正常
・認知症ではない
・年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害がある
こんな場合は軽度認知症(MCI)かもしれません。
●認知症にも保険で備える
予防には運動や食事、生活習慣を見直したり、地域社会とのつながりをもつことなどが大切です。このような予防と、経済的な備えをしておきましょう。
経済的な備えとして認知症保険や民間介護保険などがあります。認知症保険は認知症だけですが、介護保険は広く介護になったときの保険です。認知症保険に介護特約をつけられるものもあります。高齢期にむけては、子育ても終わっているので医療と介護・認知症の備えにシフトしていくとよいでしょう。ライフステージが変化するときには、今どんな保険に入っているか保険証券を見直して保障の整理をしてみましょう。