■ 国民負担率について
国民負担率とは、国民全体の所得に占める税金と社会保障費(医療保険や年金など)の負担の割合のことです。2月に財務省が発表した2022年度の国民負担率は、47.5%(税負担が28.6%、社会保障負担が18.8%)で、国民所得のほぼ半分を占めていることになります。
【国民負担率の推移】 (単位:%)
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税
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社会保障
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国民負担率
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1970年
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18.9
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5.4
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24.3
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1980年
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21.7
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8.8
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30.5
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1990年
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27.7
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10.6
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38.4
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2000年
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22.6
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13.8
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35.6
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2010年
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21.4
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15.8
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37.2
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2020年
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28.2
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19.7
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47.9
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※財務相 国民負担率の推移(対国民所得比)より
上記のとおり国民負担率が上がっていて、特に社会保障の負担が大きく上昇していることがわかります。
社会保険の保険料率についても確認しておきましょう。
東京都の令和5年3月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料率は、以下のとおりです。
全国健康保険協会管掌健康保険料
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厚生年金保険料
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介護保険第2号被保険者に
該当しない場合
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介護保険第2号被保険者に
該当する場合
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一般、坑内員・船員
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10.0%
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11.82%
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18.3%
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※介護保険第2号被保険者は40歳から64歳までの人で、健康保険料率+介護保険料率(1.82%)が加わる。
保険料は労使折半なので、自己負担分は 標準報酬×料率÷2 で計算します。
例えば、35歳で報酬月額が30万5000円の人は、標準報酬月額30万なので、
30万円×10%÷2=15000円 → 健康保険料
30万円×18.3%÷2=27450円 → 厚生年金保険料
となり、あわせて、42450円が給料から天引きされるわけです。
1970年では、健康保険料率が7%、厚生年金保険料率は男性が6.2%、女性が4.6%でした。その頃と比べると、厚生年金の保険料率は男性で約3倍、女性で約4倍になっています。その分、もらえる年金が増えたのかというと、そういうわけではありません。それどころか、年金の受給開始年齢は引き上げられています。
会社員の皆さんは、税金や社会保険料を給与から天引きされていて、手取り額しか興味はないかもしれませんが、一度、給与明細をじっくり見てみましょう。どれくらい税金や社会保険料がひかれているのか、そして、それがどう私たち国民に還元されているのか、考えてみることも大切だと思います。
諸外国に比べたら、それほど高くないといわれる国民負担率ですが、その使われ方、還元される内容には違いがあります。進み続ける少子化、高齢社会、長生きリスク……このままでは国民負担率はもっと増えていくでしょう。国民負担率を下げるには、分母となる国民所得を上げるか、分子となる税金・社会保険料を下げるか、です。国民所得を上げるためには、景気をよくする経済成長が必要ですが、そのためには国民負担率を下げて、国民が使えるお金を増やす必要があります。私は、政府が国民に目先の給付金などでのバラマキをやめて、減税し、国民負担を減らせば、長い目で見れば、経済成長に繋がっていくかもしれない、と思います。皆さんはどう思いますか?