■ 2023年10月から 年収の壁支援策
パート・アルバイトの人は社会保険料の負担がかからないよう年収の壁を意識して働いています。そのような人のために2023年10月から支援策が始まりました。
●社会保険料の負担がかかるのは・・・
106万円の壁
事業所の従業員数が101人以上
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賃金が月額8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
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週の所定労働時間が20時間以上
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130万円の壁
事業所の従業員数が100人以下
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年間収入が130万円以上
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パート・アルバイト先の従業員数が101人以上の会社で働く人は、年収が106万円以上だと社会保険の加入要件に該当します。
パート・アルバイト先の従業員数が100人以下の会社で働く人は、年収が130万円以上だと社会保険の加入要件に該当します。
そのため、パート・アルバイトの人は年収を130万円未満(従業員数が101人以上の企業で働く人は106万円未満)に抑えて働く人が多いのです。
会社にとっては、もっと働いてもらいたいと思っても、社会保険料の負担を抑えるため、働く時間を調整して働く人が多いので慢性的な人手不足となってしまいます。
また社会保険料を納めない人が増えると社会保険というシステムの財源が少なくなってしまいます。
●年収の壁支援策
【106万円の壁に対して】
パート・アルバイトの人が、年収の壁を超えて社会保険に加入しても手取り収入が減らないよう取組を行う会社に対して支援するものです。
たとえば従業員が101人以上の会社で働く人で、社会保険料の負担を下げるために年収104万円に抑えていた人が、年収106万円になると社会保険に加入して社会保険料を納めることになります。
社会保険料は労使折半ですので、本人が約16万円、会社も約16万円、社会保険料を負担することになります。
そうすると本人は手取り年収が90万円(106万円-16万円)になってしまいます。
会社が16万円分、手当を増やせば、手取り収入はかわらず106万円となります。
手当を支給した会社には、国から補助が出るというしくみです。
【130万円の壁に対して】
パート・アルバイトの方が社会保険に加入する際に、手取り収入が減らないよう取組を行う会社に対して支援するものです。
パート・アルバイト先の人手不足による一時的な増収であれば、年収が130万円を超えてもすぐに社会保険加入義務としないこととされました。
繁忙期に臨時的に残業をした場合や、ほかの従業員の退職や休職、突発的な事情で収入が増えた場合には、一時的な事情として連続2年までは社会保険の加入義務から外れるようになりました。
●注意点
・106万円の対策で手当を支給するかどうかはパート・アルバイト先の会社が決めます。
・国の補助は本人ではなくパート・アルバイト先の会社に支給されます。
・130万円の対策は、一時的な増収であることを事業主に証明してもらわなければなりません。
証明をしてもらっても、扶養に入れるかどうかは扶養者の健康保険が決めます。
・基本給が上がった場合や恒常的な手当により年収130万円を超える場合には一時的な収入増とはみなされません。
・この支援策は2年だけの時限措置となっています。この先ずっと続く制度ではありません。
参考:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html